約 1,391,318 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/695.html
441 :名無しの紳士提督:2015/07/19(日) 23 10 28 ID h69sGV4I 夏服の艦娘の悩み 「衣替えしてから明らかに提督がよそよそしい」 「提督が常に前屈みでとても辛そうにしている」 442 :名無しの紳士提督:2015/07/20(月) 16 14 01 ID ewpME9kc 短めっつーか1レスだけど大淀さんで。禁欲提督ってアイディアいいよね… 執務中に水着を見せびらかしに来た第七駆や天龍に愚息が反応してしまい、椅子から立ち上がることができなくなった。 大淀「提督、そろそろお昼にしないと食堂が閉まってしまいますよ?」 提督「…すまないがここ(執務室)まで運んでもらえないかな、ちょっと立て込んでて」 大淀「そうですか? 私が見たところむしろ普段より進んでいたような…」 手元の書類を覗き込むように顔を近づける大淀。流れる黒髪からはシャンプーに混ざったほのかな女の子の匂いが鼻孔をくすぐった。無防備な胸元からは白い小振りな乳房とラベンダー色の下着が見え隠れしている。 提督(い、いかん… ここ最近ろくに処理してなかったから大淀の貧相な胸でも股間に来る!) 大淀「提督、どうしました? 顔が赤いですけど、風邪ですか?」 提督「え、いやこれは」 大淀「少し失礼しますね、んっ…」 前髪を掻き分けると大淀はこつんと額を合わせた。互いの吐息が感じられる距離に思わず全身が硬直する。大淀の瑞々しい唇と美しい鎖骨のラインから目が離せない。 大淀「…やっぱり、少し熱っぽいような…」 提督「そうか… 医務室から薬を貰ってきてくれないかな、少し休んだらまた執務に戻るよ」 大淀「あまり無理はなさらないで下さいね? さっきも言いましたがお仕事は順調ですから」 執務室から退出する大淀を見送ると、提督は大きなため息をついてぐったりと机に突っ伏した。 提督「…ちょっと出ちゃった…」 443 :名無しの紳士提督:2015/07/20(月) 17 17 58 ID smtx2ctc GJ! 昂ぶってるおかげで普段まったく性的に意識してない娘に欲情するのって良いですね
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/389.html
4-2-1 赤道直下とはいえ流石に夜になると涼しい風が吹く。 煌々と光る13夜月の月光が眩しいくらいに見える。 月明かりを楽しみたいため照明は抑え目にしている。 開け放した窓から入る風に含まれる潮の香が男の心を擽る。 ―やっぱり、俺は海が好きなんだな。 柄にも無くロマンチックな気分になっている自分に苦笑する。 そして、高まる胸の鼓動が緊張からもたらされるものであることに改めて気づかされる。 ―やれやれ、これじゃ童貞だな…昔はバーって言ったんだっけか。 帝国海軍の将帥に憧れ、それに近しい立場になった男は、それ故か妙に帝国海軍士官ぶりたがる傾向にあった。 その割に完璧に士官ぶれて無いところがこの男-提督の長所でもあり短所でもあった。 これから一人の艦娘が彼の私室を訪ねてくることになっていた。 夜、艦娘が独りで自室を訪ねてくる。 それ自体は特に珍しくも無かった。 だが、今晩訪ねてくる艦娘は特別だった。 大日本帝国海軍一等巡洋艦妙高型4番艦「羽黒」。 かの大戦では蘭印攻略戦を皮切りに、サンゴ海、ミッドウェー、ソロモン、マリアナ、レイテと勇戦し大戦最後の水上戦で倒れた勇者。 幸運艦、武勲艦の名を欲しい儘にし幾多の海軍士官下士官兵に愛された傑作重巡。 その魂を継いだ艦娘が彼の部屋にやってくる。 恐らくは彼と契りを結ぶために。 そして、彼は彼女を武勲艦だから愛しているのではない。 セミロングボブの黒髪も、いつも八の字気味の眉も、伏し目がちの大きな目も、少し猫背気味の姿勢も。 引っ込み思案なところも、仲間思いなところも、芯の強さも。 気が付けば彼女の全てに彼は恋をしていた。 ―恋、しているのか?俺は! ぶふっ、と変な息を漏らしてちゃぶ台に提督は突っ伏しながら赤面した。 いい歳を恥ずかしい、とは思うが短くない人生経験からしてこれは間違いない。 部下に恋するなど、まして自分よりも随分と年下に見える娘に恋するなど思ってもみない事だった。 「ふふ、道理で、緊張するわけだ」 顔を上げると口に出して笑いがこみあげてきた。 恋する彼女との初めての夜。 リラックスできるほど彼は男前では無かった。 キッチリ決めた二種軍装。オーデコロン。髪もしっかり整えた。 無論、既に入浴を済まし念入りに体も洗ってある。 笑えるぐらいの童貞力である。 それほどに彼は羽黒に恋をしていた。 時計は2155。 私室をノックする音が響いた。 「誰か?」 扉の向こうに誰がいるのかはわかっていたが、平静を装うため誰何の声をかける。 「羽黒です、宜しいでしょうか?」 大きくも小さくも無く、ただ静かだが強さを感じる声が返ってきた。 彼の恋してやまない、彼の心を沸き立たせ、不安にさせ、切なくさせる声が。 「入って宜しい」 4-2-2 扉が開き、廊下の微かな灯りを背に受けた細いシルエットが浮かんだ。 セミロングボブの髪に銀色の髪飾り。 朱の射した顔に大きな瞳と可憐な唇。 そして、普段の妙高型お揃いの制服と同じ色の和服。 月光に冴えるたおやかな菫のような美しさに提督は息を飲んだ。 「…あの、司令官さん?」 普段の気弱気な羽黒の声で提督は我に返った。 「あ、いや、ごほん。どうぞ」 鯱ばって立ち上がると羽黒を中に招き入れる。 井草の畳に戦艦長門の模型を飾った箪笥と障子にちゃぶ台。 最近、戦果で手に入れた改修予算を一気に使って和風を好む彼は部屋を完全に和装に整えていた。 ホテルを改装した天井の高い鎮守府の部屋にいささかミスマッチではあったがここが落ち着くという艦娘も少なくない。 羽黒は出された座布団に静々と座った。 ちゃぶ台を挟み向かいに座った提督はまんじりともせずその姿を呆然と見つめた。 ―綺麗だ。 暫く沈黙が続いたが、緊張感に耐えられなかった提督は口を開いた。 「その、似合ってるな。その菫色の和服」 「……ありがとうございます」 はにかむように羽黒は上目づかいに微笑んだ。 「妙高姉さんが選んでくれました。その、司令官さんのお部屋にはこの服が合うって」 そう言って羽黒は頬を染めた。 『そうそう、和服の方が殿方は色々と致しやすいし、誘いやすっ、げふ』 と力説する足柄を那智がひじ打ちをして黙らせた事は黙っている。 ―はぅぅ、き、緊張するよぉ 誠意一杯の勇気を振り絞って提督の部屋に来たものの何をどうしたらよいか見当がつかない。 ―そうだ、お酒。那智姉さんありがとう。 『お互いいける口なんだからこれを持っていけ』 と那智から渡されたのは山形の銘酒《羽黒山・純米吟醸》の四合瓶だ。 『あ、あ奴は吟醸が好きだから…』 頬を染めそっぽを向きながら酒を渡す那智。 上がり症な羽黒と妙なところで口下手な提督の事を考えての事なのだろう。 那智の心中が複雑なのは羽黒も理解できた。 提督は那智にとって飲み仲間であり、想い人でもある。 妹が本懐を遂げられるのは喜ばしいが、焼きもちも同時に焼いてしまう。根が素直な那智の顔にありありとそう書いてあった。 妙高が酒瓶を丁寧に包んでくれた。 『羽黒。あんまり飲ませちゃダメよ』 明日は土曜日。とは言え鎮守府は現在、難関海域を攻略中であり土曜日といえど課業は普通にある。 深酒をさせて鎮守府の運行が滞っては、現在の秘書艦である妙高の立場も無い。 『そうよぉ。飲み過ぎると提督も若く無いから、いざっ!て時に、勃たないかっ、うぼぁ』 余計な事を付け足そうとした足柄の水月に那智の拳がめり込んだ。今夜提督と夜を過ごせない八つ当たりが20%くらい入っていただろう。 4-2-3 「あの、司令官さん。こ、これ。い、一緒に飲みませんか」 「ん?おお、羽黒山の純米吟醸じゃないか!羽黒、ありがとう」 そう言うと茶箪笥から取り出した湯呑茶碗を二つ並べた。 「肴、肴は~。はは、こんなのしかないか」 そう言って取り出したのは、携帯糧食のイワシの缶詰だ。 「本当は暖めた方が旨いんだけどな~」 うきうきとイワシ缶のふたを開け、割り箸を二膳、ちゃぶ台に置いてから提督ははたと気づいた。 羽黒をほったらかしにしていた事を。 「す、すまん羽黒。久しぶりの吟醸酒だから浮かれちゃって…」 ちゃぶ台の向こうにちょこんと座った羽黒に真剣に頭を下げる提督。 日本酒を前に浮かれモードの中年士官をポカンと見ていた羽黒だが、やがてクスクスと笑い出した。 「司令官さん、お酒が大好きなんですね」 「へっ?……いやぁ、恥ずかしいところを見せたな」 羽黒が怒っていないと気づき、頭をポリポリと掻く提督の前に湯呑茶碗が出された。 「お一つ、どうぞ」 「ああ、すまない。いただこうか」 羽黒は嬉しかった。 普段から厳格というには程遠い提督ではあったが、こんなにくだけた姿を見るのは初めてだった。 それだけに彼に一歩近づけた気がした。もっともっといろんな彼を見たい、知りたい、近づきたい。 一緒にいたい。 少なくとも今夜、彼の最も近しい場所にいるのは自分なのだ。 勇気を出して良かった。 応援してくれた姉妹や鎮守府の仲間に感謝しながら茶碗に美酒を満たしていく。 「ど、どうぞ」 「羽黒も飲めただろ、さぁ」 恐縮する黒髪の艦娘がそっと茶碗を差し出した。 羽黒と二人きりで飲む。 今まであるようで無かったシチュエーションだ。 欠けていた時間を埋めるよう酒が満たされていく。 「じゃ、乾杯」 4-2-4 「か、乾杯」 茶碗をかかげると提督は一気にそれを煽った。芳醇な香りの液体が喉を下る。 本来なら一口含んでじっくりと胃の腑に落としていくのが良いのだろう。 しかし今は、乾杯、その言葉の通り盃(茶碗だが)を乾してしまいたい衝動を抑えることはできなかった。 緊張とそれを上回る高揚感。目の前にいる艦娘と二人の時間を持てた事が提督には嬉しかった。 菫色の衣に身を包んだ羽黒が酒瓶を掲げて待っていた。 咳払い一つしてそっと茶碗を差し出すと慎重に酒を注いでくれる。 紗で織られた和服の菫色と羽黒の白い肌が絶妙な色気を醸し出す。 袂からチラリと見える脇と胸元の合わせ目につい目が行ってしまう。 いつも猫背気味なので、気が付かなかったがそこそこのボリュームをそこは主張していた。 「あの……や、やっぱり、気になりますか?」 ひょいと顔を上げると赤面した羽黒と目が合った。 恥ずかしがりやの彼女は普段ならこんな表情の時は目線を逸らしているところなのだが、今日の羽黒は違った。 男の方が赤面しながら恐縮して先に視線を逸らしてしまった。 「い、いや…その、なんだ、気にならないと言えば嘘になる」 ちびりと酒を口にする。妙に喉が渇く。 「……羽黒。こんな近くで君を見た事が無かったから」 茶碗をちゃぶ台に置くと羽黒の傍らに座る。 「綺麗だよ、羽黒。気付かなくてゴメン」 恋する男の顔がすぐ隣に来て羽黒の心臓は一瞬ドキリとする。 普段なら尻尾を巻いて逃げ出してしまうのだが、今日の彼女は違っていた。 羞恥や怯懦よりも彼への思慕の念が勝った。 「私も……司令官さんの顔、こんなに近くで見るのは初めてです」 そう言って彼女は瞳を閉じた。 提督は羽黒の肩に手を置いた。一万㌧重巡娘とは思えないほど細く柔らかな肩。 そのままそっと己が胸に寄せると唇を重ねた。 薄明りの和室に二人の影が重なる。 二種軍装に重なった和装の菫色が薄明るい灯りの下で静かに揺れる。 「んっ、はー……はぁはぁはぁ、しれい、官さん、んんっ」 長い接吻で苦しくなった息を継いだ羽黒だが、提督の顔をほうと見つめると自らその唇に口づけた。 ―司令官さん、司令官さん……。 ずっと恋焦がれていた男の唇は思っていたより熱くて強くて、切なかった。 ―離したくない。このまま時間が止まってしまえばいいのに………。 「んふっ、ちゅちゅちゅ、んんっ、ふぁ、んちゅ」 4-2-5 「んっ、はぁ、はぁはぁはぁ、羽黒っ、待った」 執拗に唇を求める羽黒をそっと引きはがし提督は荒い息をついた。 「はぁはぁはぁ。はー、慌てないでくれ。俺も我慢できなくなる」 こつんと羽黒の額に自らの額を合わせ提督は苦笑いする。 彼とて思い焦がれた羽黒との接吻に興奮しないわけは無かった。 「あ、あの…ごめんなさい」 いつもの口癖が羽黒の口から洩れたが、いつものように顔を俯けてはいなかった。 羞恥に染まった真っ赤な顔を提督に向け精一杯の笑顔を作って見せる。 「が、我慢しないでください……羽黒、精一杯頑張ります」 「……羽黒っ」 男に我慢などできるはずも無かった。そのまま、ぎゅっと羽黒を抱きしめる。 「きゃっ、し、司令官さん?」 「羽黒、我慢しないぞ?いいな」 こくりと頷いた黒髪の娘の手を取った提督は彼女を夜具の上に導いた。 4-3-1 菫色は不思議な色だ。 楚々として清らかなイメージと蠱惑的で妖艶なイメージが混在していた。 夜具の上に横たわった羽黒が正にそうだった。 はだけた襟から上下する白い膨らみが垣間見える。 浅黄色の帯でくくられた腰は程よく肉付いてまろやかな曲線を描いている。 乱れた裾から伸びる足は陳腐な表現だが白魚のように美しかった。 思わずごくりと喉が鳴った。 そのままもう一度口づける。 「ん、んっ?、はぁぅ、ちゅ、れろ、ふぅんっ」 今度のキスは文字通り遠慮は無かった。 可憐な唇を割り開いて提督の舌が羽黒の口に侵入する。 閉じていた前歯をそっとノックするように優しく愛撫するとゆっくりと口腔が広がった。 そっと舌と舌を逢わせるとびくりと舌が震える。 あまりにも予想通りの彼女らしい反応が微笑ましい。 そのままゆっくりと舌を絡めると羽黒も合わせるように舌を絡める。 熱く湿った肉のうねりと時折ふれる奥歯の硬質の滑らかさが心地よい。 提督の舌と共に送り込まれる唾液をごくりと飲み込むと胃の中から体中に熱が伝播していく。 「ふぅ、んふぅちゅ、ちゅちゅ、んちゅ、ふぁ、れろ」 提督は羽黒の口内を堪能するとゆっくりと彼女の舌を自身の口内に引き入れる。 おずおずと提督の中に侵入した羽黒の舌は柔らかく提督の口内をくすぐり始める。 前歯、奥歯、歯の裏、歯茎、唇の裏側、舌の付け根、次第に動きは大胆になっていく。 口と口での愛撫を続けながら、提督の手が袖から胸に侵入する。 「んちゅ、ちゅ、ん、んんっ?ふぁっ司令官さん?」 「すまん。でも、我慢できないって、言ったろ」 肌襦袢の下にたどり着いた手がふわりと膨らみに触れた。 下着に抑えつけられていなかったそれは柔らかく弾力した。 「あっ、やっ、んん」 柳眉を八の字に寄せて羽黒は思わず声を出してしまう。 初めて男の手に触れられた乳房が熱い。 「や、んん、ふぅんっ、くぅ、あはぁ、ん」 ―恥ずかしくて顔から火が出そう。でも、気持ちいぃ。 肉欲に浮かされ始め頭の芯がぼんやりとしてくる。 それでいて体の感覚はより敏感になって痺れる様な快感が広がる。 4-3-2 「羽黒、脱がせるよ」 ぼんやりとする頭でセミロングボブの髪が頷いた。 緩んだ帯をそっと外し、下帯を解く。肌襦袢を開くと白い裸身が現れた。 きめ細やかな雪肌が羞恥と情欲でほんのりと桃色に染まっている。 細身の体はその名を持つ重巡洋艦の最上甲板が作る曲線のように優美かつ引き締まっている。 華奢な印象の肢体に比べて、乳房はふっくらと盛り上がりピラミッド型に配置された前部主砲群のように存在感を主張していた。 当然のことながら主砲塔とは違いあくまでもなだらかで柔らかな双乳の先は桜色に色付いた乳首がツンと上を向いている。 荒い息で上下する初々しい乳房と相反して、贅肉のついていない腹部はなだらかだ。 縦に窪んだおへそがチャーミングなアクセントに見える。 飾り気のない白い下着が安産型の尻を包んでいる。 そこから伸びる白い太腿が内股に閉じられて淫靡さを醸し出している。 「羽黒、綺麗だ……本当に綺麗だよ」 戦場から帰ってくる艦娘達の中には艤装だけでなく着衣が大きく損傷している娘もいる。 羽黒も例外ではない。むしろ他の艦を庇って被弾し中破状態で帰港してくる事が多い。 不謹慎ながら、破れた着衣の隙間からそのプロポーションを邪推してしまったことが無いと言えば嘘になる。 しかし、眼下に輝く裸身は提督の陳腐な想像をはるかに超えた美しさだった。 提督の手が無意識に桜色の頂を持つ果実に伸びた。 「やっぱりダメ、恥ずかしぃ、です……そんなに、見ないで」 消え入りそうな声で羽黒は羞恥を告げる。 顔を真っ赤にした羽黒がおずおずと胸を隠そうとする。その手を提督は柔らかく抑えた。 「ダメ……見たい。今夜は羽黒をもっと知りたい」 そう言って乳房に指をめり込ませる。驚くほどしっとりと柔らかな肉が提督の指を包む。 少し指先に力を入れると乳肉は優しく押し返してきた。その肌触りと弾力に提督の欲情が高まる。 「あぁ、ダメ、んんん…しれぇ、官さぁん、はぁ、くぅん」 乳房を手のひらで包むように揉まれると愉悦の波が広がり、羽黒の全身に痺れる様な快感が響いた。 興奮から体積を増した白桃は提督の指に吸い付く様に弾み、その度に羽黒の口からすすり泣くような吐息が漏れる。 快感で意識がぼぉとなり、汗が噴き出す。しっとりと濡れた裸身が快楽に踊る。 「羽黒、痛くないか?」 「んぁんっ、は、はぃ。大丈夫、です、んんっ」 「じゃあ、こっちはどうだい?」 先端で切なげに揺れていた桜色の乳首を提督がクリクリと捏ねた。 既に硬く尖っていた乳首から全身に鋭く快感が走った。 「ひぅっ、あはぁぁんっ、やめぇ、はうぅぁ、はぁんっ」 一際大きな嬌声が和室に響いた。同時に提督はタガが外れたように羽黒の乳首に吸い付いた。 チュウチュウと敏感な突起を吸い、ぞろりと舌の腹で舐る。コリコリとした感触がなんとも心地よい。 口による愛撫を免れていたもう一つの蕾も提督は逃さない。 指の腹で優しく、時に強く弾く。増々硬度を増した尖りを乳肉に押しつぶしてはやんわりと引っ張り上げる。 4-3-3 「やっ、あはぁん、しれぇ、だめぇ、あはぁ、んっんん、あぁぁぁん」 乳房全体が熱く疼き、男の欲望に翻弄される桜の花芯は強烈な快感を全身に響かせる。 今まで感じた事のない快感が羽黒を責めたて、溶かしていく。 顔だけでなく首筋まで赤く染める羽黒の痴態に提督の隠れていた嗜虐心に火が付いた。 なだらかな腹をそろりと下り、いきなり純白の下着に包まれた秘苑を撫であげた。 「ひうっ、やあ、それ、はぅぅぅぅんっ」 「えっ?羽黒。お前、もうこんなに」 撫でた指先に纏いついた湿り気に提督は驚いた。湿り気というよりもそこは既に溢れる蜜でしとどに濡れていた。 「はぁはぁはぁはぁ、しれぃか、さん……私、こんな感じ、初めて」 「……嫌だったか?」 打ち続いた快楽の波で四肢の力を失い、荒く息をつきながら羽黒は喘ぎながら頭を振った。 桜色の頬に涙が伝う。チュッと提督の唇が雫を吸い取った。 そうしてから羽黒を全身に抱き寄せ耳元で呟く。 「じゃあ、もう少し羽黒のかわいいところを見せてくれ」 そういうと下着に指を滑り込ませ、ヒクつく秘裂を撫で上げた。 「あっ、いきなりっ、ダメぇ、んっ、ぁぁぁっ」 くちゅりと水音を立てて愛液が指の隙間から零れる。くちゅくちゅと探るように蠢いた指先は硬いコリコリとした器官を探り当てた。 既に包皮から頭をもたげていたそれを提督はくるりと指先で撫でた。 そのとたん羽黒の脊髄を鋭い快感が駆け上がった。 「ふあぁぁぁっ、そ、そこぉ、らめぇ、い、いきなりは、あぁぁぁぁぁん」 背筋を弓なりにして喘ぐ羽黒の裸身を片手で抱きながら、提督はもう一方の手で更にクリトリスを責めたてる。 指先で突起を摘まみすり合わせたかと思うと指の腹でグリグリと押し込む。 突起の根元から扱くように指を上下させ、先端をクリクリと弄り回す。 執拗に陰核を責めながら、唇で羽黒の全身にキスの雨を降らせる。 「ひぁっ、い、いぃ…そこぉ、すごぃ、そんな、の、あはぁぁぁぁんっ」 桜色の首筋、綺麗に窪んだ鎖骨、羽黒が喘ぐたび揺れる乳房、充血してぷっくりと盛り上がった乳輪、愛らしく形を変える臍。 それは愛撫というよりも食事だった。 飢えを満たすために一心不乱に獲物を貪る肉食獣のように届く範囲全てに唇で、舌で、提督は羽黒の全身を味わう。 生きたまま食事に供される娘には激痛の代わりに快楽が全身を支配していった。 そして、肉食獣の共演はクライマックスに向かおうとしていた。 連続する細かいオルガスムスで汗みずくの羽黒を提督は布団にそっと横たえる。 自ら着衣を全部脱ぎ去ると放心したかのような羽黒に口づけた。 「羽黒、いくよ……いいかい?」 「は、はい……司令官さん、私で良ければ」 4-3-4 ぐしょ濡れになった下着を取り去ると露に濡れた叢が現れた。少し大きめの大陰唇と小さくヒクつく小陰唇が淫靡に男を待っているかのようだ。 羽黒の足の間に体を入れた提督は己の切っ先を花弁にあてがった。触れた先端から女の胎内の熱さが伝わる。 そのままゆっくりと肉棒を羽黒に沈めていく。 亀頭が女肉をかき分けずぶずぶと奥に入る。 「くうぅっ、んんんんっ、はぅぅぅぅぅんっ」 固く目をつぶった羽黒は両手で布団を握りしめ衝撃に耐える。肉槍の膨らんだ先端が胎内を擦る感覚に羽黒は喘ぐ。 ゆっくりと挿入された男根を羽黒の可憐な秘孔は全て飲み込んだ。 ずんっと打ち込まれた提督自身が自身の胎内にあると胸の奥がほわっと暖かくなると同時に下半身が疼いてしまう。 「ん、くぅぅぅ、はぁはぁ、し司令官さんで、いっぱい、んん」 提督は羽黒に口づけた。そのまましばらくお互いの唇を啄み合う。 唇を重ねたままゆっくりと提督の腰が律動を開始した。 ぬちゅぬちゅと結合部から淫猥な音を出しながらペニスが羽黒の膣を擦り上げる。 亀頭の裏を擦っていく肉襞の感覚が提督の脳を焼く。 白熱する快感がを追い求めるように提督の腰の動きは加速していく。 びっちりと肉棒を咥えこんだ肉壁を押分けると羽黒の内臓が亀頭に絡みつきその精を搾り取ろうとしているように騒めく。 「ぐっ、は羽黒。すごい、気持ちいいよ、んん」 脳を焼く蜜壺の肉感に支配されて提督はひたすらに羽黒に腰を打ち付ける。 ずりずりと亀頭冠が膣壁を擦り、胎内を掻き分け侵入してくる。その度にゾクゾクとした快感が腰に走る。 特に膣口の裏側辺りをごりっと亀頭が通るときには頭の中が白くなるような快楽が体を貫いた。 膣壁全体で感じる肉棒の熱さと硬さが羽黒の心を満たす。 「ふあっ、あはぁんっ、しれぃかん、さん、来て、もっときてぇ」 手を上げて抱擁をねだる羽黒を抱きしめる。自身の胸板の下で柔らかく潰れる乳房の感覚が欲情を更に高める。 そのまま唇を奪うと舌を吸い上げる。羽黒も積極的に舌を絡め、ごくりとお互いの唾液を嚥下し合う。 息継ぎのため羽黒が口を離した隙に提督はたぷたぷと揺れる乳房にしゃぶりついた。 乱暴に舌でぐりぐりと乳首を舐り、唇で乳房を甘噛みする。 乳肉に刺激が与えられるたび、乳首が弄ばれるたび、愛液で滑る膣壁が男根をきゅっきゅっと締め上げた。 「あはぁっ、気持ちイイです……おっぱいも、おまたも、きもちいぃですっ」 「羽黒、俺も気持ち、イイよ。すごい、熱いっ」 愛液まみれの肉棒がトロトロに溶けた肉壺に入るたびに淫猥な水音がくちゅくちゅと響き、遅れて下腹と恥丘がぶつかり合うパンパンという音が続く。 提督の激しい息遣いと羽黒の恥ずかしげな嬌声と併せて二人の興奮を高めていく。 膣全体がペニスを包むように食い締め、ペニスはいよいよ硬度と体積を増し羽黒の胎内を圧迫する。 「羽黒、限界だ……いくよ」 4-3-5 「は、はいぃっっ、私も、もう、きちゃうっ」 強烈に腰を動かして羽黒の最奥にペニスを差し入れると提督は引き金を振り絞った。 溜りに溜った精液が陰嚢から尿道口を駆け上がるのがわかる。 膨れ上がった亀頭から爆発するように白濁液が羽黒の子宮に叩き付けられる。 二度、三度と男根が烈しく胴震いを起こしながら熱い精液を羽黒の胎内に流し込んでいく。 放たれた精液の熱さと衝撃と愛する男の子種が胎内に満たされていく感覚を感じて羽黒も絶頂を迎える。 同時に最後の一滴まで精液を搾り取ろうとするかのように子宮と膣が収縮する。 「はあぁぅぅ、熱っ、しれぃかんさっ、イクぅっっっっ」 提督にしがみつきながら全身をガクガクと痙攣させて羽黒は気をやった。 魂まで吸い取られるような膣壁の蠢動に提督も一瞬、失神しかける何とか踏みとどまる。 最後の力を振り絞り羽黒の横にドサッと寝ころぶ。 力を失ったペニスが膣から抜け、愛液とカクテルされた精液がコポコポと女孔から零れ出る。 ―羽黒、君が艦娘になってくれて、君に会えて、君を好きになれて……良かった。 横で眠る羽黒の裸身を抱き寄せて頬にキスをする。 そのまま愛しい女の体温を感じながら提督も意識を手放した。 … …… ……… 潮騒と海鳥の声に後押しされて艦娘が目を開けると自分の部屋とは違う天井が見えた。 未だ覚醒しない頭のまま、寝返りをうった彼女の視界に入ったのは提督の寝顔だった。 ―ふふ、司令官さんの寝顔、ちょっとかわいい……………へ? 一気に彼女、羽黒の意識は覚醒した。覚醒した途端に昨夜の情事を思い出す。 「あぅっ、昨日、私、司令官さんと……はぐぅぅ」 一気に茹蛸のように赤くなる羽黒。 同時に嬉しさもこみあげてくる。やっと傍にくる事ができた。私の大切な司令官さん。 しかし、同時に不安にもなる。 彼女の司令官さんは「みんなの提督」さんでもあるのだ。妙高型の姉妹を始め、榛名、鳳翔、千歳、雷を筆頭に駆逐艦勢とライバルは多い。 ―まあ、海軍士官さんともなればお妾さんの一人や二人いても当然だし。お妾さんに。 とは思うが、一人や二人で済まないのが現状である。以前の彼女だったら諦めていたかもしれない。 しかし、彼女は諦めない自分を取り戻した。 不屈の重巡洋艦羽黒はその最後まで勇戦敢闘した幸運の重巡なのだから。 けれど油断するな羽黒。 提督を好きな艦娘はこのあともどんどん鎮守府にやってくるぞ。 そして、提督がガキの頃から好きだった軍艦の実装もやってくるぞ。 頑張れ羽黒。 指輪をもらえるその日まで。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/200.html
加古「ふぁ~眠い」 加古「え?」 古鷹「加古。どうしたの?」 加古「ちょ・・・痛い痛い」 古鷹「加古!かこぉぉぉぉ」 加古(昔から調子こいては、古鷹に怒られていたっけなぁ・・・・) ------鎮守府にて------ 古鷹「・・・・。作戦完了です・・・・」 提督「・・・・・・。」 古鷹「この作戦で、加古は、加古は」 提督「作戦完了後の帰投中背後から突然深海棲艦にか」 古鷹「はい。申し訳ありませんでした。私が、旗艦の私が気を抜いたばっかりに」 提督「もういい」 古鷹「私が、私が加古を、私が加古を・・・・」 提督「違う、古鷹のせいじゃない。」 古鷹「でも、戦闘海域での指揮は私が」 提督「だから、元はと言えば連戦で疲れてる君たちに無理やり出撃命令を出した俺が」 提督「緊急補修の妖精さんを付けていなかった俺が悪い。古鷹は悪くない。」 古鷹「で・・・・でも」 提督「無理しないで、泣きたいときは泣けばいい。ここには俺と古鷹しかいない」 古鷹「うん・・・。いや、嫌だよ。寂しいよ。なんで、なんで・・・・。」 ----その日の夜------ 古鷹「提督・・・。失礼します」 提督「どうした?やっぱり眠れない?」 古鷹「はい。なんか急に一人ぼっちになって、その何ていうか」 古鷹「あ、あの提督。今日は一緒に寝てもらえませんか?」 提督「ああ、俺でよければ」 古鷹「じゃぁ、お言葉に甘えて・・・・」 その後俺と古鷹はあまり大きいとは言い難いベットの上で一緒に寝た 時折震える古鷹を抱きしめてあげる。今の俺にはそれしかできないのであろう そして、日付がかわり1時間ほど経ったぐらいだろうか 古鷹「あの、提督。」 提督「ん?どうした?」 古鷹「こんなに甘えてしまってすみません。」 提督「仕方ないよ。誰だって、寂しいときは・・・」 古鷹「こめんなさい。」 提督「古鷹?今何を」 古鷹「こんな形ですけど、ファーストキス。提督にあげちゃいました」 提督「古鷹。もっと自分をだな」 古鷹「不謹慎かもしれないですけど、こうやって提督に包まれて、幸せ。」 古鷹「提督に包まれてると私、やっぱり提督が大好きだって。それで・・・・」 提督「俺だって、古鷹の事は好きだよ。本当は前線になんか出したくない」 古鷹「提督。私の、この寂しい気持ち、提督で上書きできるかな?」 提督「俺には、寂しさを紛らわせる事ができるかわからないけど、けど古鷹が望むなら」 古鷹「・・・・。提督、お願い・・・・。抱いてください」 古鷹の突然の“お願い”に戸惑いながら、古鷹の服を脱がしていく 薄ら明かりの中で露わになった彼女の肌は想像以上に美しく、今にも理性が吹き飛びそうだった 俺は、古鷹の敏感なところを探すように、まず乳首を優しく抓る 古鷹「あっ、提督・・。はっ」 少しずつ息遣いが荒くなる古鷹をみつつ、片手を下半身に伸ばす まだ誰も触れたことのないであろう彼女の性器に少しずつ指を入れる 甘い声を上げ、そこからは大量の蜜があふれてくる。 古鷹「提督・・・。切ないよ」 もう、限界だった。 俺は古鷹の上になると、自分自身を古鷹に入れて行った。 古鷹「ッ・・・・・・」 古鷹が苦しそうな表情を見せる、我に返り古鷹と結合している部分をみると そこには古鷹が今まで純潔であった証があった 提督「古鷹・・。ごめん、大丈夫か?」 古鷹の痛みに耐える姿をみて、自分自身を一旦引き抜こうと少しずつ腰を上げて行った 古鷹「提督、慌てないで・・・・。大丈夫、だから」 古鷹「痛くても、今が幸せだから」 弱弱しい笑顔を見せる彼女に優しくキスをした 傍から見れば異常な関係かもしれない つい数時間前に妹を失ったばかりだというのに、 これじゃ、まるで傷をなめあうみたいじゃないか とどこかで冷静な自分がささやく しかし、そんなことはどうでも良かった。 自分との行為で古鷹の傷が少しでも癒えるのであれば 俺は、後ろ指をさされても気にしない。むしろ古鷹を守りきる自信さえある 古鷹が落ち着いたところで、再び腰を動かす 少しづつではあるが、古鷹の声にも変化が出てきた 古鷹「あっ、あ、提督、提督っ!」 古鷹の甘い声が大きくなっていくたび、腰の動きも大きく、そして早くなっていく ギシギシというリズミカルな音とそれに伴う性器と性器の結合する水の音 そして古鷹の甘い声 もう限界だった 古鷹「提督・・・。下さい。中に、中に下さい!」 その声を合図に、古鷹の中に精を放った それから、俺と古鷹は鎮守府一のバカップルになった。 -----数か月後------ 古鷹「あなた。今動いた」 提督「ん、そうか」 古鷹「この子の名前どうしようか」 提督「古鷹に任せるよ」 古鷹「じゃぁ・・・・・」 そして、つけた名前は・・・・・。 古鷹「もう、絶対に気を抜かない」 提督「あぁ、俺もだ。何があってもこの子と古鷹を守り抜くから」 古鷹(ごめんね、加古。私だけ幸せになって。だけど、この子は守るから。) 娘「うえぇぇぇぇん」 古鷹「お腹すいたの?じゃぁミルクを飲みましょうね」 古鷹「加古。私の大事な娘。」
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/471.html
806 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 20 55 04 ID WPQREMKw 以前浜風が無理やりフェラして吐く長編を書いた者です。 上の方でトリップつけたほうがいいというような議論があったみたいなのでつけさせていただきます。 祥鳳って前付き合ってた男の事をずっと根に持ちそうだなという発想から大鳳との修羅場ものを書きました。 長編未完 エロ薄い(後の話でもっとがっつり塗れ場を書きます) なので苦手な方はスルーをお願いします。 行間詰めすぎとの事だったので台詞前後に空行を入れます。 序章 吸い込んだ空気は容赦なく、喉を炙るように通り過ぎた。肺腑凍てつき、背筋には槍の刺さったような痛みが走り、彼は思わず真白 い吐息に手をかざした。波の岸壁に打ちつけるごぅごぅという音が、厭に大きく厭に不気味に、辺りを猛然と駆け巡っている。 正月飾りの取り払われた玄関には、寂寞と孤独が横たわっている。目前にあるはずのアスファルトは夜の闇に解け消えて、灰色の石 段だけがくっきりと浮かび上がった風であった。未開拓の無人島にぽつねんと取り残されたような、そういった凄まじい哀情が沸いて きて、彼は居た堪れなく焦って足を動かし始めた。吹き荒ぶ海風に当てられた耳が裂かれたかのような痛みを発し、頬は一歩踏み出し た途端に真っ赤になる。外套のポケットに突っ込んだ掌は、それでも隙間から入り込む冷気によって一向温まる気配もない。鳥肌立っ た背中が肌着と擦れ、ぞっとしない感触に肩が震えた。 少しでも中から体を暖めようと、彼は足を速め岸壁沿いを進んで行く。 寒風荒ぶ夜の中この提督が外へと繰り出したのは、何も酔狂によるものではなかった。元来風来坊の性質を持って生まれたために、 確かに周りからは変人という肩書きを与えられていた彼ではあったが、今回のこの行動に限って言えば、常識の範疇内の理由による外 出なのだと説明できる。 腕時計を見、現在時刻が体感のものより大分遅れている事を、彼はどこか安堵した思いに受け止めた。意外にも、執務室を飛び出し てからまだそんなには経っていない。眇めた眼にて用心深く辺りを見渡し、人の気配の無いのが分かるとまた足を速めてゆく。 秘書艦である祥鳳が、鎮守府宿舎から出て行った。その情報の執務室へ転がり込んできたのが、つい五分ほど前のことである。 それは当直の警備に当たっていた妖精が報告したものであった。息を荒らげ興奮気味に戸を抜けたそれは、提督に宥められつつ叫ぶ ようにしてあらましを説明した。 曰く、怪しい人影がふらふらと危うげな足取りにて歩いていた、そのシルエットは大きな二つ結びで確証はないにしても 祥鳳らしき事、声を掛けようとしたものの背後から発せられていた徒ならぬ雰囲気に怖気づいてしまい、結局は黙って見送ってしまっ た事。大雑把にそんな内容である。 日はとうに西に沈み、月とクレーンの航空障害灯だけが静かに闇を照らす時分。霧のようにぼんやりとした白光を赤い明滅が彩る様 は、途方も無く寂しいものである。秘書仕事を終え部屋に戻ったはずの彼女が、今こんな時に外出するなど俄か信じがたい事であった。 急ぎ内線で門の警備に連絡を取った所、一切外へ出て行った者はないとの返答。恐らくは、鎮守府の敷地内を放浪しているらしかった。 そこまで差し迫った危険性は無いと分かったにしろ、やはり憂慮せずにはいられない。もしかしたら余計なお節介なのかもしれない と、そう思う気持ちもありはした。しかし、胸を締め付ける気遣わしさには到底敵うわけがなく、提督はラックに掛かった外套へ急ぎ 袖を通したのだった。 彼女の赴きそうな所に、幾つか当てはあった。事の報告をした妖精は他の艦娘にも協力を仰ぐよう提言したが、すかさずにそれは却 下された。この破滅的行動は間違えなく心内の問題から発生してるのだろうし、だとしたら解決しやすいのは自分であると、提督には そういった自負があったのだ。 何も自惚れであるとか、過剰な自意識によるものではなかった。客観的に見ても、彼の考えは実に妥当なものだと言えた。おおよそ、 その鎮守府の誰もが知りえない秘密が、二人の間には確かに存在していたのである。 即ち祥鳳と提督は、実に三ヶ月ほど前より恋仲にあった。秘書と直属の上司という間柄は、厳重な秘匿の元で時に男女の関係に変化 していた。その律儀さたるや、噂好きの幾らかの艦娘にさえ、未だ疑われもしていないほどである。 決して公に睦まじくすることはなかった。両者とも、絶対に第三者に知られてはならないと固く信仰しており、その無言に交わされ た約定のような制限が、決して外れぬ楔となっていたのだった。 彼らは、立場ゆえの関係の掩蔽に烈しい刺激を見出してもいた。仕事の関係から外れたたまの逢瀬は、痛く思えるほど耽美に過ぎ、 それは当人達でさえ思い出すだけでも頭を抱えたくなるような代物だった。それだけの慈しみがこもっているからこそ、提督は決して 捜索に仲間を募らなかったのである。 凍えに凍えた空気は、しかし幾ら取り込んだところで煮えた頭を少しも冷ましてはくれない。一番近しい所にいたくせに、彼女にこ んな事をさせてしまった事。まったく何にも気が付かなかった自身の鈍感さが恨めしく、歯痒かった。地団駄の踏みたいのをぐっと堪 え、提督は後悔と贖罪の意を胸に、暗闇に目を凝らしていった。 幾らほど歩いたか。やたらに早まっている体内時計を鑑み、およそ五分は経った頃か。提督は視線の先に薄ら女性の輪郭を捕らえる ことができた。鎮守府の敷地内でもっとも大きな防波堤の末端。海水のぶつかった飛沫がかかるのを意にも返さず、ぽつねんと体育座 りに腰掛ける、大きな三つ編み二つ結びの影である。 彼女は身じろぎ一つせず、物思いに耽っているのかただ暗晦な海面を見つめている。暗がりからぼぅと影が浮き出た様には身の毛の よだつ程の凄みがあって、事情を知らぬ者が見たならきっと心霊の類と見なすだろう。そう思えるほどの気味の悪さが漂っていた。 かっぽりと削り取られるようにして作られた防波堤の階段。その小さな段を一歩ずつ昇り、とうとう彼女と同じ地平に立つ。乱雑に 詰まれた波消しブロックの、海水のぶつかる度に降りかかる霧が、途端提督をしっとりと濡らした。 氷のような冷たさを湛えた霧である。海に向かって進めば進むほど、それはより濃くなっていった。耳の感覚は消え失せ、指先や膝 が独りでにがたがたと震え始める。 「祥鳳!」 防波堤の中腹、ちょうどくの字に曲がるその起点にまでたどり着いた頃、提督は彼女の名を自棄になったように叫んだ。前髪の毛先 がシャリシャリに凍り、それがちょうど眉間を叩くから不快な事この上ない。足先や指先の感覚が、末端から溶ける様に消えていた。 かちかちと歯が鳴った。顎を震わせている姿を想像すると、何とも無様で格好の付かない様に思われ、彼は無理やり飲み込むように してそれを収めた。状況として、決して彼はそう意図しているのではないが、どうしてもこの先颯爽と登場するようになってしまうの だから、最低限瀟洒な風情を漂わせようと思ったのである。 情けなく震えた叫び声を耳に入れ、祥鳳は途端無意識に背を跳ねさせた。 すぐ近くにまで寄ると、彼女はゆっくりと振り返る。その佇まい、髪は濡れ唇は青白く瞳はどんよりと濁り、それでも微塵も震えて はいないその様子には薄ら寒い気持ちを抱きもした。提督は彼女の頭を撫で 「帰ろう。皆心配している」 開口一番にそう言った。 何故ここに来たのかだとか、何故こんなことをしたのかだとか、そういったことを聞くのはやはり憚られた。話したいのならば自分 から口を開くだろうから、今はただ何時もらしくに接すればいい。提督はそう結論付けると、あとは濡れそぼった彼女の髪をひたすら 指で梳くだけになった。 それ以上両者から、何も言葉は発されなかった。静けさに耐えられなくなったか、祥鳳はしばらくの後、彼から目を逸らして再び海 面に視線を向けた。 触られることに抵抗しない様子を認め、とりあえずは彼女を立たせようと、提督は地に置かれた小さい手を取ろうとした。冷えて感 覚も希薄になった掌は、それでも祥鳳に比べればまだまだ血の気は通っているらしく、握った手は吃驚するほど冷たく思えた。 華奢で骨ばっている為か、まるで氷に厚手の布を巻いたかのような感触である。戦闘時には何時も弓の弦を引き絞っているから、人 よりも皮膚が厚くなっているのかもしれない。幾回も体を重ねその度に指を絡ませていたにも拘らず、今初めて知った事実であった。 きっとそういう鈍感さだからこそ、今まで彼女の仔細な機微にも気が付かなかったのだ。そういった自嘲の念がわだかまり、彼は頭を 抱えたくなった。 今すぐにでも額を地につけ、ひたすら謝罪をしたかった。彼女の望む事なら何でもこなしたい、仮にこの海に飛び込めと言われたな ら喜んでその命に従うだろう。そういった悔悟はじくじくと胸を痛ませたが、果たしてそれが免罪符にならないことも知っていた。 今この段階ではとにかく帰ることが先決だと、そう思い直して腰を上げる。掴んだ掌を引っ張ってみると、まるで釣り上げられるか のようにして彼女も立ち上がったのだった。 提督は自身のコートのポケットに、掴んだその掌を入れ、更に指を絡ませて握った。服越しの体と掌で挟みこみ、少しでも暖かいよ うにと体を寄せる。カイロや、何かそういった類のものを持ってこなかった事が、今更になって悔やまれた。 一歩、恐る恐る足を踏み出してみると、彼女も続いて歩を進めた。足取りは覚束なかったが、抱える必要があるほど衰弱しているわ けでもなさそうである。ゆっくりと歩くべきか、冷えるから足を速めるべきか。気遣うという同じ源泉から湧き出した背反する思いは、 何とも煩悶たるものであった。 「寒いね」 「上のケチ共は資材上限を絞っているんだな、まったく」 「新たにレ級なんていう敵も発見されたらしい。物騒なことだよ」 帰路につき、そのようなことをポツリポツリと話しかけてみても、まったく何も反応はなかった。彼女はただ顔を伏せ、半歩遅れて ついて来るだけである。握り返してくれている手の感触だけが、唯一の繋がりを示す楔に思えてきて、感じられる存在の気配はどんど んと希薄になっていく。やがて話題のストックが消え果てると、提督もただ黙々と足を動かすだけになった。 来た時よりも大分長く感じられるアスファルト舗装の道は、それでも何時しかその終端には辿り付けるのだった。ずっと先に見えて いたはずの光の粒が、今でははっきりと鎮守府の窓から漏れる灯りだったのだと認識できる。そのぼんやりと浮き出た建物の影に、ど こか安堵を覚えた。 彼はつと祥鳳の方へ視線を向けた。もうすぐ着くぞと、そう言いたかった訳であるが、思い返せば手を握ってから彼女の顔をきちん と見てはいなかった。腕の触れるほどすぐ近くにいたために、寧ろ何時もより様子を認めるのを怠っていたのだ。普段外では大っぴら に、恋人のように寄り添って歩くこともままならなかったわけだから、変に緊張していたのかもしれない。だがこの時まで、祥鳳のそ れにまったく気がつかなかったのは、間抜けとしか言いようのない愚鈍な過ちだった。 彼女の顔を見て、提督の口からは吃逆のような音が漏れ出した。祥鳳は空いていた方の手でひたすら目元を拭い、よく耳を澄ませば、 波飛沫の音の狭間に、小さな嗚咽も聞く事ができる。歯を食いしばり、時折肩を跳ねさせながら、手の甲を湿らせている。そういった 状況を認識するのにも時間が掛かり、顔を向けてから十秒は経った頃、ようやく 「どうした?」 そう一言訪ねる事ができた。 言ってしまってから、何て気の利かない言葉だろうと思った。訪ねたということは、察す事ができなかったと宣言しているようなも のではないか。そう気が付くと、腹から脳天へ悔恨がさぁっと駆け抜ける。 「ごめんなさい」 搾り出すようにして吐き出された謝罪へ、提督も慌てて反応を寄こす。 「いや、別に気にしていない。……だから、泣くのは止めなさい。何も責めないし、言いたくないことは言わなくていいんだから」 「違うんです! そうじゃなくて……それ以外にも、私、謝らなくちゃいけないんです」 過呼吸気味に途切れ途切れ言葉を紡ぐ彼女の様子は、とても痛々しいものである。彼女はここまで言い切ると、後から堰を切ったように漏れ出す嗚咽に、続きを言う事ができなくなった。 気まずい間が開いたが、提督は決して先を急かすような事をしなかった。そんな事のできる権利はないと思われたし、悪意はなくとも結果的に追い詰める事になってしまうのは厭に思えた。 気が付けばポケットの中に手は無く、いや向かい合っているのだからそれも当然な訳であるが、掌に残っている温もりの残滓が寂寞 を掻き立たせてならなかった。一抹の不安感が足元を通りすぎ、胃がきゅうと縮み上がる。ぞっとしない感覚に、提督は思わず生唾を飲 みこんだ。 「一つお願いがあります」 意を決した風に、祥鳳は彼を見つめた。纏う雰囲気からいうならば、睨むと形容してもおかしくは無い。語気は冷静沈着なれど、滲 む凄みは紛れも無く、高ぶった感情のそれである。 「うん。何?」 「私と、別れてください」 提督の口からは、再び引き攣った吐息が漏れだした。 意外にも、その言葉を聞いたときに何かショックを受けるような事はなかった。ただ厭な予感が的中してしまったと、そういった納 得のようなものが漠然と心内に広がっただけである。一旦は流れを止めた彼女の涙も、だがすぐに眼は潤みだす。それをぼんやりと眺 め、しかし頭はそういった視界の状況さえ処理できないほどだった。真っ白に、虚無が果てまで伸展する。 「ごめんなさい。理由は聞かないで。……ごめんなさい」 やがて彼女は泣きながら、走って提督の横を通り過ぎた。 その場に立ち続けていると、今更遅れて防波堤で座るという行為の意味を理解できた気がするのだった。極寒が自身を罰してくれ、 しかも地平線に広がる闇は思考を煮詰めてくれる。 一体自分は、彼女の何を分かっていたというのか。 自嘲の念は何時までも、彼の心に纏わりついていた。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/707.html
55 :名無しの紳士提督:2015/10/25(日) 08 50 02 ID 454W76Xo 非エロですけど投下します 今回も独自設定要素が出まくっている感じです なおこの話はフィクションです 実在の人物や出来事とは一切関係ありません 56 :思い出の中のもの、今ここにあるもの:2015/10/25(日) 08 51 26 ID 454W76Xo 「今日は何の日ー?」 子日の元気な声が響く。摩耶も仕事のかたわら子日に答えていた。 「矢矧と黒潮の誕生日だな。それと軽巡洋艦矢矧と駆逐艦黒潮の進水日だ」 「艦娘はやっぱり運命にひかれた存在なんだな」 「あっ、提督だー」 「提督!?お前、出張じゃなかったのか?」 「いやあ、ちょっと早く終わったからな。摩耶、私の代わりにご苦労さん」 「あ、気にすんなって」 「子日も頑張ったよ」 「ああ、子日もご苦労さん」 「やったー、褒められたー」 「しっかし、艦娘ってそういう運命なのかねえ。 アタシも重巡洋艦摩耶の進水日と同じく11月8日か誕生日だしさ」 「誕生日と進水日が一緒だったらもしかしたら沈んだ日と…」 「子日!」 「あっ……ごめんなさい……」 俺は不安な言葉を口走りそうになった子日を制した。 「……提督、今日の仕事はアタシ達に任せてよ」 「いいのか?」 「心配すんなって。子日達も頑張っているからさ。 だからさ……久しぶりにアイツに……鳥海に会いに行きなっ」 「ああ…わかったよ」 俺は部屋を出て再び外へ出かけようとした。 「提督、どこへ行くの?」 隼鷹が俺を呼び止めた。 「ちょっと墓参りに行って、ついでに実家にも寄ろうと思ってな」 「だったらこのお酒を持ってって」 「隼鷹…これは高い酒だろ…」 「いいよ。前に提督に迷惑かけちゃったから、そのお詫びだよ」 「そうか」 俺は隼鷹の厚意を素直に受け取った。 10月25日は俺の大切な人がこの世を去った日だ。 その人がいなければ、今俺はここにいなかっただろう。 俺は大切なその人に何が出来たのだろうか。 むしろその人を傷つけてしまったことしかなかったのではないだろうか。 もしあの時ああしていれば………… そんな後悔が俺の心の中に蘇る。 根拠なんて何もなかったけど。そう思った瞬間はあった。 だけど、何もせずにいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。 その後に深い悲しみが待っているなんて思うことはなく………… もし…あの時……どこかで訴えていた何かに応えていたのなら…… 自分の直感。それを信じて行動していれば 取り返しのつかない事に後悔する事もなかったかもしれない。 動かなかった事が俺を幸せから遠ざけ、 そして多くのものが俺の手の届かないところへ行ってしまった。 ……今となっては何の意味もない後悔だ。 俺が今、成すべき事は、今俺をここにいさせてくれた過去の人達を想い、 感謝し、そして今を生き、未来へと歩いて行く事…… 俺は様々な想いを胸に抱きながら、大切な人の墓参りへと出かけた。 大切だった人が眠る地に着いた。ここは山の方とはいえ昔と全然変わってないな。 いや、少し賑やかになったかな。海沿いの街は結構変わっていたから。 俺が小さい頃によく遊びに行っていた所は海に接する街だった。 海に接している事なんて全く意識していなかったけど、沢山の人達がいた事は覚えている。 だが今は街から活気が消えていた。明らかに人が少なくなっていた。 駅前の商店街は元々さびれつつあったが、深海棲艦の出没以降それが更に加速した。 深海棲艦を恐れた人々は内地に移り住み、様々な商業施設を作っていった。 昔からあった街への通り道が新しい街となり、昔からあった街は少しずつ街ではなくなっていく…… 街も、通り道も、どちらもすっかり変わってしまった。 今街にいるのは昔から代々受け継いできたものを守り続ける年寄りがほとんどだ。 大きな駅も、田舎から大都会へと乗り継ぐ為だけの場所となっていた。 ………っとと、ちょっと物思いに耽ってしまった。墓参りに来たというのに全く関係ない事を…… 俺は大切だった人が眠るお墓へ向かった。 そして、そこにいた俺の大切な人に声をかけた…… 「え……しれ…あ…あなた!?」 そこにいた彼女―伝説の重巡洋艦鳥海の力を使える艦娘であり、俺の愛する妻―は驚いていた。 「出張が早く終わったからな。摩耶の厚意もあってここへ来たんだ。 ったく……久しぶりに会ったらどうだとか言うが精々一週間程度じゃないか」 「一週間でも寂しかったですよ……」 「すまない……」 俺が出張に行く時に鳥海と離れ離れになったのにはわけがある。 俺達には子供がいたが、その子は艦娘の子供だった為色々と調査の対象となっていた。 現在艦娘の子供というものは俺達の子供以外にはいない。 艦娘の活動行為が胎児に悪影響を及ぼさないかという心配もあったし、 艦娘として一度は力を行使した時点で普通の人間とはほんの少し、 だけど僅かでしかない程度に遺伝子に変質があったらしい為 艦娘から生まれた子供がどんな存在になるかという不安も広がっていた。 だから俺達の子供を調査する事によって、問題なければそれでよし、 問題あってもハッキリと諦めはつける。 だから他の艦娘の為に俺達は証明をしようとした。 そして小さな子供を長時間母親と離すわけにもいかなかった為、 俺は出張に鳥海を連れて行かなかった。 「お墓の掃除も君がしてくれたんだね」 「はい」 「ありがとう」 俺は感謝した。 「俺の父方の祖母は13年前の今日亡くなった。 その前日、いつもは行こうとは思っていなかった病院にお見舞いに行こうかとふと思った。 だけどお見舞いには行かなかった。そして……」 「…………」 「もしあの時行っていれば……ボケてしまって俺の事がわからなくなっていたとしても、せめて…………」 「……重巡洋艦鳥海も71年前の今日沈みました。でも私は沈みません…死にません。 私が重巡洋艦鳥海の進水日と同じ4月5日に生まれた艦娘だとしても!」 「ああ、そういう運命だけはお断りだな。 俺の大切な人の一人である父親は重巡洋艦鳥海の進水した4月5日に生まれ、 俺の祖母は重巡洋艦鳥海が沈んだ10月25日に亡くなった。 こんな事を言うのは変かもしれないけど… 『鳥海』は俺の大切な人と何かしら繋がりがあるから、 鳥海の艦娘である君も大切な人と思ったかもしれないって……」 「でも私を好きになった最初の理由は私があなたのお母様や初恋の人と似ていたからでしょう」 そう言われると少しすまない気持ちになってくる。 似ているといっても、母親は眼鏡をかけていて、初恋の人も眼鏡をかけていて、 結局安心出来るものを外見から求めていただけなのかと思ってしまう。 「でも…でも、だからこそあなたが私を選んでくれたのだと思います。 あなたの心の中に刻まれた、あなたが安らげる女性像、それを持つ私を…… だからあの人達に感謝しなければいけませんね。 あの人達がいなかったら今こうして幸せでなかったかもしれないから……」 「俺にとってもそうだな。クレオパトラの顔付きが少し違っていたらって話を聞くけど、 もし俺の大切な女性達が眼鏡をかけてなかったら、また違った運命だったかもしれないな」 「運命ってわかりませんね」 「…………考えてみれば俺達が今こうしていられるのも、 俺達に直接関わった人達だけじゃなく、 俺達が生まれる前からずっと頑張っていた人達のおかげかもしれない。 あの戦争では、散っていった人達も、生き残った人達も、 みんな大切な人を守る為、幸せの為に頑張っていたはずだ。 それがたとえ、どんな形だろうとな……」 「ええ……」 彼女も頷く。彼女が知った重巡洋艦鳥海の記憶から 俺の想像が少なくとも大きくは間違っていないと裏付けたからだろう。 「それに戦場で戦っていた人だけでなく、日本に残された人達も 戦場で戦っている人達がいつか帰ってくる場所を守る為に生きていたはずだ。 その人達か頑張って生きて、そして生き残り、 死んでいった人達の想いを継ぎ、帰ってきた人達と共に再び歩き出していき、 戦いで全てを壊されたこの国を復興させていった。 俺達が今ここにいる事をその人達に感謝しなければならない」 俺は墓に改めてお参りをした。戦争を生きた人達、 そして、今まで命を繋げてくれた全ての人達への感謝の気持ちを伝える為に…… ブルルルッ!! マナーモードにしっぱなしだった電話が鳴った。 慌てて電話に出た俺の耳に摩耶達の声が響いた。 「提督、大変だ!深海棲艦の大群が港街を狙って進軍して来ている」 「深海棲艦の大群が!?」 「今は何とか沖の方でせき止めているけど…」 「このままだと突破されちゃいそう!」 「落ち着け子日!そう簡単に突破されはしないだろうけど、 もしもの事があったら大変だ。 鳥海と一緒にいるなら今すぐに帰ってきてくれ!」 「ああ、今鳥海と一緒にいるからすぐに戻る!」 そう言って俺は電話を切った。 「…ええ、タクシーをお願い」 俺が電話している最中に鳥海はタクシーを呼んでいた。 「タクシーを呼んでおいたわ。10分くらいかかるみたいだけど…」 「そうか…」 「ところでこのお酒は…」 俺は隼鷹からもらった酒の事を忘れていた。 父親への土産に持っていこうと思ったが、そんな暇はもうなかった。 「仕方ない、親戚の家に預けて来る。タクシーが来る前に戻れるはずだ」 俺は全力疾走した。 「今帰ったぞ!」 「鳥海、ただいま戻りました!」 「二人とも、戻って来てくれたんだね!」 子日が明るく迎えてくれた。 「ごめん提督。アタシがもうちょっとしっかりしていたら…」 「気にするな。人々の為に戦うのが俺の…俺達の役目だ。それより状況は?」 「なんとか均衡状態だよ」 「ありがとう、摩耶」 「鳥海……迷惑かけてごめんよ」 「いいのよ。それよりも出撃準備は」 「出来てる!」 「それじゃ行くわよ!摩耶と私の二人が揃えば、勝てない相手なんていないわ!」 「ああ!」 先程まで落ち込み気味だった摩耶が戦いで挽回出来るからか元気を取り戻して答え、出撃した。 「提督、子日達がもっとちゃんとしていたら提督達の休日を潰さなかったかも…」 「無理してくれなくてよかったよ。俺達の都合の為に犠牲者が出たら、 今まで命を繋いできてくれた全ての人達に申し訳が立たないからな」 「????」 「説明は後だ!」 「はいっ!」 俺達が今ここにいるのは、沢山の人達との出会いと別れがあったからだ。 だけどそれだけじゃない。自分も、他の人達も、 みんな誰かから命のバトンと様々な想いを受け継いできた。 そして俺達に繋いでくれた人達も、また別の誰かから受け継いでいる。 過去の人達が頑張って生き続けていたからこそ今の俺達も生き続けている。 そして俺達も生き続け、過去の人達が次の世帯へ命のバトンと想いを渡したように、 次の時代を生きる若い者達に命のバトンと想いを渡そう。 俺達は守り続ける。命のバトンを落とす事なく受け渡せる世界を。 ―終わり― + 後書き 62 :名無しの紳士提督:2015/10/25(日) 09 05 40 ID 454W76Xo 以上です。今回はちょっといい話的なものを書くつもりで書きました 書いている時に改めて過去作を読んでいたら 矛盾してしまう場面もあったのでちょっと書き直しました シリーズものは整合性のために見直すのも大切ですね ちなみに俺はここまで立派な人間に離れてません もっと立派な人間になりたいです…… これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/157.html
大和の護衛の為に深海棲艦の巣に潜入する矢矧。 だが、それは深海棲艦T級の巧妙な罠だった。 「矢矧のプライドは 俺に崩される為に築いてきたんだものな」 「いつもの力が出せれば…こんな深海棲艦T級なんかに…!」 「よかったじゃないか 大和が人質になってるせいにできて」 「んんんんんんんっ!」 「へへへ おい、俺の46cm砲を用意するぞ。気持ちよくしてもらう」 (耐えなきゃ…!!今は耐えるしかない…!!) 「矢矧の生パンツゲ~ット」 (いけない…!左乳首が感じやすくなってるのを悟られたら…!) 「生矢矧の生ハメシーンを実現してもよろしいでしょうか?」 「こんな奴に…くやしい…! でも…感じちゃう!」(ビクッビクッ 「おっと、乳首に当たってしまったか。甘い痺れがいつまでもとれないだろう?」 ───「と、いうのはどうかしら?」 「いや、話の流れが読めん」 「ほら、最近マンネリ気味かなと思って」 「誰のせいだと思ってるんだ」 「あら、誰のせいなのかしら?」 「すいませんでした」 ここ最近毎日のように部屋を訪れるようになっている矢矧。 毎回搾り取られて正直昼にも影響が出ているのだが いざ来られてしまうとそこは悲しい男の性、結局彼女が満足するまで付き合ってしまう。 それでも流石に毎日のことである。 さすがにするパターンが同じになってきたと思ってきたところへのこの提案であった。 「というかなんなんだそれは」 「最近提督との性生活がマンネリ気味になってきたって秋雲に相談したら渡されたの」 「ああ、あいつ怪しげな本を書いては売って稼いでいるらしいからなって それ以前に駆逐艦相手にそんな相談するか普通」 「あら、あの年頃の子って結構その手の知識は持ってるものよ。 それに前も言ったけど前世の記憶があるなら猥談なんて聞き慣れてるしね。 ましてや秋雲はこういう知識にやたら詳しかったりするし」 「で、それをやれと?」 「あら、提督にはご不満だったかしら?」 「つまりはあれか、雰囲気を作っていつもと趣向を変えてみろと」 「そんなところじゃないかしら」 「じゃあ始めるぞ『矢矧のプライドは 俺に崩される為に築いてきたんだものな』」 両手を縛った矢矧に対してイメージプレイを開始する。 「いつもの力が出せれば…こんな深海棲艦T級なんかに…!」 「よかったじゃないか 大和が人質になってるせいにできて」 「んんんんんんんっ!」 言葉で責めながら矢矧の豊満な肢体を弄る。 「へへへ おい、俺の46cm砲を用意するぞ。気持ちよくしてもらう」 (うん、最初の時以来主導権握られっぱなしだったから結構新鮮だなこれは) イヤイヤをする矢矧に屹立した肉棒を見せつけ、さらに矢矧を責め続ける。 「ヘヘヘ……さて、そろそろメインディッシュをいただくとするか」 「ああっ……イヤ、そこだけはやめて!」 「聞こえんなぁ」 ズブブブブ…… 「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」 「クックック……スゴイ締めつけだぞ、このまま快楽の奴隷に落としてやろう」 ────数時間後 「あっあっあっあっ! も、もうやめてくだしい!」 パチュッパチュッパチュッ!! 「ほら、どうしたの! 私を快楽の奴隷に落とすんでしょう!」 動きの衰えてきた提督の動きに不満を持った矢矧が器用に縛られてる縄を自力で紐解き 提督に襲い掛かったのであった。 体こそ反応していたものの、意識はもはや朦朧としており抵抗する力は既に残っていなかった提督に 矢矧が猛然と襲いかかる。 「だ、ダメだって……も……無理」 最後の力を振り絞って矢矧の一番奥に腰を叩きつけて何度目かわからない精を吐き出す。 自分の奥に注ぎ込まれる暖かい感覚をを矢矧はとても満ち足りた表情で受け止めていた。 「グー、スピー……」 「……さすがにちょっとやりすぎちゃったかな」 苦笑しながら提督の頬を指でつつく矢矧、当然ながら熟睡している提督からの反応はない。 「ごめんなさい、やっぱりまだちょっと怖いの。 また何も守れずに沈んでしまうんじゃないのかなって」 正直自分が艦娘という存在になったとき、できればもう戦わないで済む人生を送りたかったとも思った。 だが、諦観を心のどこかしらに抱えていた自分を迎えてくれたのは…… 「う~ん……矢矧……だからもう無理だって……ムニャムニャ」 「あはは、ごめんなさい」 聞いているはずもないのに笑顔で謝る矢矧、そして── あなたが私の提督でよかった」 そう呟くと提督の頬にそっと口付ける。 そして布団に潜り込み提督の手を取り抱き寄せる。 そのまま手から与えられる心地よいぬくもりに身を任せ、矢矧もまた眠りに落ちていくのだった。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/615.html
671 :名無しの紳士提督:2015/01/08(木) 14 08 00 ID v5pdzD9U 艦娘達「なんで提督は私たちが散々アプローチしているのに、のってこないんですか?」 提督「俺は妻子持ちなの、悪いがお前たちにそんな感情はもっていない」 艦娘達「ガーン」 意外と大丈夫組 金剛「テートクにワイフが…デモテートクが幸せならいいのデース」 榛名「…提督なら仕方ないですね…榛名はおとなしく身を引きましょう」 鈴谷「あらら嫁さんいるのか~残念~」 電「提督には…そうですか…でもがんばるのです」 やばい組 加賀「…このまま引き下がれない」 大和「ええ、終わらせてなるものですか」 雷「そうよ…私がいればいいじゃない」 大鯨「ほえええ…ほええ…ほええ…」 翔鶴「終わらせない、このまま…」 扶桑「うふ、ふふふふふふ…」 色々ダメ組 足柄「(返事がない…ただの屍のようだ)」 赤城「…」 飛龍「赤城さん、提督に養ってもらうつもりだったみたいね」 672 :名無しの紳士提督:2015/01/08(木) 18 29 19 ID X78f.K66 普段尽くすタイプの方が怖いのねw 699 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 08 35 32 ID hs4s8WlI 673 ちょっと考えてみた。 意外と大丈夫組→身は引いたけれど提督の奥様はどんな人なのか気になる!→提督のプライベートに潜入。 やばい組→ドロドロな愛憎劇。 色々ダメ組→意外と大丈夫組の焚きつけ役。 足柄(改二)「フフフ、司令官の妻とやらを一目見るまでは死ぬわけにいかないわ…」ギラギラ 羽黒「(司令官が妻帯者だったというショックが秘められた力を呼び覚ましたのでしょうか…?)」 こんな感じか? 700 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 10 48 04 ID Fvj9pz5w 673 全然平気組はケッコンオコトワリ勢か 見守り組は鳳翔とかの包容力系あたりだな… 嫁さんに興味あり組は天龍や暁とか 701 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 18 25 09 ID 7AEY3uMs そしてヤバイ組が負けを認めるほどの嫁さんが出てくると… まあ、個性豊かな艦娘達をまとめあげる提督の嫁さんだもん 702 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 23 28 30 ID hs4s8WlI 700 そして提督の息子or娘に興味ある組の長門が加わる。 703 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 00 06 58 ID FTCjaXyk やっぱり長門はいつも通りなのか 705 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 02 16 39 ID qizzBoGg 提督と嫁さんがいちゃラブしているのを見て、部屋で提督を想いながらあんなことするけど 空しさだけ残り「心なんていらなかった」と泣きじゃくる加賀や翔鶴の姿が 707 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 08 53 35 ID j66vER5w 703 長門は子供に人気だったし、提督の息子or娘の方から会いたがるって展開もありそう。それ以外にも提督の子供と艦娘との絡みも面白そうな気がする。 708 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 10 38 00 ID OzTorjww 684 彼我の軍艦や軍籍の船の魂が無念とかで堕ちてしまった存在といわれるのが1番しっくり来るだろうし 彼女等の無念とかを祓えさえすれば、そういう未来も有り得るんじゃないかな (個人的には彼女等を鎮める為に生まれた、艤装への適性がある子が「艦娘」と考えてる。) 709 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 18 03 45 ID V8BOxbWU 671 そして元艦娘の奥様に、物理的から女子力まで、コテンパンに返り討ちにされるんですね。 「母は強し、と言う事です。いずれわかりますよ」 711 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 20 19 44 ID H8uQnvxo 709 自分は包容力&家事能力抜群(元艦娘ではない)の嫁さんに毒気を抜かれるってのを考えた。 713 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 23 25 21 ID H8uQnvxo 699 プライベートに潜入までしなくても提督の忘れ物を届けにいってそこで提督の妻子と出会う…ってのでもいけると思う。 714 :名無しの紳士提督:2015/01/11(日) 01 40 47 ID zIPU15oE 提督の嫁は… 1、一般人 2、元艦娘(三笠や伊吹や筑波等) 3、艦娘いらないんじゃと思われる最強 さあ、どれがいい、答えろルド(以下略 722 :名無しの紳士提督:2015/01/11(日) 09 54 57 ID b8/obXMQ 714 艦娘候補だったけど、艦娘になれなかった女性ってのはどうだろうか?艦娘=元人間説が前提になるけど… 進行中 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/652.html
168 名前:2-683 霞[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 07 57 22 ID G9FxYqM2 今の時間は、どうなっているだろう。 どうでもいいか。 深い夜である事は分かる。執務を再開できる気分ではない。 今の自分は砂嵐が吹き荒れる心情にあったからだ。 蹴飛ばしたい衝動を抑え、執務室の扉を開けた。 秘書艦霞はずっと待っていたのか否か私をぞんざいに出迎えた。 霞は普段通りの気を緩めない顔でいるが、私は普段通りの精神状態ではないのだ。 今は霞と口を利く気分ではないのだが、霞からすればそれは関係のない事だろう。 大本営に呼び出された今日の事柄を霞に尋ねられ、私は全てを語った。 この鎮守府が設立されてから目立った戦果がない事を糾弾された事。 艦の犠牲を躊躇しない他の鎮守府を引き合いに出された事。 大本営のその身勝手な態度に、自分は首が飛びかねない程の危ない態度で応戦した事。 それら全てを聞き終えた霞は、私を見上げて歯向かって来た。 「はあ? それで逆切れ? だらしないったら!」 逆切れ? だらしない? 霞の怒号が疲れた身に染みるが、私は霞の言葉を頭で反芻した。 霞の辛辣な言葉は聞き慣れていると自負している筈だが、気が立っている所為なのか稚拙に口が動く。 上の価値観が狂っているから自分はそれを然るべき在り方へ導こうとしただけだ。 それなのに自分が間違っていると言うのか? 霞はあんな事を言う上がおかしいとは思わんのか? 霞は私に、そんな上の人間の犬になれとでも言いたいのか!? 自分は自然と声を荒げていった。 しかし霞は一蹴するように鼻で嘆息した。 「上の人間が発言力のない司令官の戯言を聞くと思ったの? それに、これで左遷でもされたらやり方も何もなくなるでしょ。 そんなことも考えられないんじゃクズ司令官は犬同然よ。馬っ鹿みたい」 ……何だと。 もう駄目だ。我慢ならん。 自分の周りには味方がいないようだ。 秘書艦にさえ自分を否定されたこの時、蔓延っていた黒い感情は爆発してしまった。 全く、上官に向ける言葉とは思えない。霞にはお仕置きと調教が必要のようだ。 霞を蹂躙してやりたい、そのような生意気な口を二度と叩けないようにしてやりたい。 この泥々とした感情を抑えられそうにない。 「っな!」 霞の手をひったくるようにして薄暗い自分の私室へ連れ込む。 邪魔者が入らないよう後ろ手に鍵をかけると、霞はその目に警戒心を色濃く表した。 霞には無意味かもしれないが、目をなるべく鋭くさせて威圧するように見下ろす。 抵抗出来ないよう霞の両腕を痣が残らんばかりに掴んだまま追い詰め、やがて寝具へ押し倒した。 「私に当たる気?」 霞は素行を改めない。 予想は出来ていたが、全く威圧出来ていないようだ。 もしくはこれからされる事が分かっていないのかもしれない。 自分はボタンが破損する事も躊躇わず霞の上部装甲を力尽くで開いた。 その中にある青緑を基調とした装甲をたくし上げると、慎ましいタンクが二つ露わになった。 それの片方を右手でむんずと掴む。 「っ……」 予想に反して霞は大声を上げるどころか唇を硬く閉ざした。 しかし仮に大声を上げたところでここは奥まった提督の私室だし、 ここを出た執務室の壁は防音効果もあるので誰にも聞こえる事はなかろう。 通りすがりの者に聞こえやしないか気を割く必要もない。 目前の霞に集中する。 自分の右手にすっぽり収まる程度の慎ましいタンクは張りが強いのか少々硬めだ。 だが、硬かろうが柔らかろうが自分がこうして昂る運命は変わらなかっただろう。 見た目は人間の少女そのままなのだ。背徳感を煽られる。 目を尖らせる霞の意思は"屈してなるものか"と言う歴戦の勇士のものだろうか。 そんな態度を取るならば、此方としても更に張り合いがあっていいと言うものだ。 空いている左手を口元に持ってきて指を舐ると、それを霞の下部装甲の、またその奥の装甲に潜らせる。 ぴったりと閉ざされている霞の艦内へ、舐った中指をぐりぐりとねじ込む。 「いっ……!」 当然だが霞の艦内は一切濡れていない。 それを見越して指をあらかじめ舐ったのだが、あれだけでは摩擦率の大幅な改善は見込めない。 別段太くない自分の指を一本入れただけなのだが、霞の艦内はとても狭かった。 私の中指を異物と察知して懸命に押し出そうとしてくる。 私はそれに抗うように小さいながらも指を前後に動かす。 この時点で霞の両手は私の束縛から解放され自由になっているのだが、 何故か霞は寝具にしがみついて耐えるだけだった。 おい。痛いだのやめろだの言ったらどうなんだ。抵抗しないならもっと痛い事をしてしまうぞ。 しかし霞は一向に抵抗しようとしない。 霞は今一体何に束縛されているのだろう。 私は霞から両手とも離し、冷めた目で霞を見下ろし、ズボンのファスナーを悠々と下ろした。 自分の動きは慢心と言える程に無防備なものだが、そんな私を霞は鋭い目付きで見上げるだけだった。 霞の下部装甲を捲り、白い装甲を外す手間を惜しんで横にずらす。 「……ひ、ぐ……、っは、ぁっ……!」 慈悲などなしに主砲を突き入れると、霞は声になっていない悲鳴を上げた。 歯を食い縛ったり酸素を求めたりと忙しなく口を開閉させている。 それにしても狭い。きつい。 ふと目を落としてみれば、結合部からは明らかに赤い液体が滲み出ていた。 おいおい。見た目人間のようだと思っていたが、これでは完全に人間ではないか。 霞の血を見て自分の頭から血が引きかけたが、今更やめる選択はない。 全ての鬱憤をこの小さな艦体にぶつけるべく、無理矢理自分を突き動かす。 霞の艦内を何度も力任せに押し広げる。 最早血を潤滑剤とする事で動かす事が出来ている有様だ。 「っ! ぅ、ううっ、ぎっ……」 嗚呼、だが気持ちいい。 小さく無垢な身体を蹂躙すると嫌でも滲み出る背徳感が、征服感が、酷く快感を煽る。 痛い位に、絞るように締め上げる霞の中が、気持ちいい。 一方瞼まできつく閉じ懸命に耐える霞に、真上から影を落として罵詈雑言を浴びせる。 ほら、痛いんじゃないのか。苦しいんじゃないのか。やめて欲しいんじゃないのか。 抵抗してみろ。霞から届く距離にある屑司令官の頬を張ってみろ。霞なら出来るだろ。 出来ないのか? 上官を粗末に扱う何時もの高慢な威勢はどうした!? 何か言ってみろ!! 「……めよね……」 あ? 「惨めよねっ……!」 自分は思わず動きを止めてしまった。 霞は、どこまでいっても霞だった。 外部から駄目出しされて憤慨する自分と、気にも留めない霞。 頭の螺子が飛んだ自分と、ボルト一本抜け落ちなかった霞。 勝手に征服感を感じていた自分と、己を睨み続けた霞。 己を見失った私を、蔑む霞。 "惨め"と言うのが一体誰の事か等、考えたくもない。 「この、どうしようもない、クズ……!!」 霞の目には変わらぬ強い光があった。依然鋭く睨みを利かせてくる。 何故、挑戦的な目を向けてくる? 何故、ここまでされて屈しない? 何故、冷めた目をしていない? 「っ、……!」 自分は目を痛い位瞑って腰を慌ただしく動かし始める。 霞の底知れぬ何かを見、途端に恐怖心を抱いた。 霞の艦内を乱暴に抉って快感を得ようとし、と言うより、射精感を促してゆく。 逃げ道を作る為に、突く。突いて突いて突いて突いて……。 「め、目を見なさっ、この、クズっ……!」 「っぐ……!!」 黙れッ!! 「んんっ!! んや、ぁぁああ……!!」 歯を食い縛り、鬱憤を霞の最奥に掃いた。 暫し肩の荷が吹き飛んだような、ついでに螺子もまた数本吹き飛んだような感覚に支配される。 だが鬱憤を全て射撃し終えた頃、自分は糸が切れたように意識まで吹き飛んでしまったのだ。 …………………… ………… …… 今の時間はどうなっているのだろう。 目覚ましの音を聞く前に目覚めてしまった。 ……夕べの自分は随分と卑猥且つ下劣な夢を見たようだ。煩悩でも溜まっているのかもしれないな。はっはっは。 等と笑っている場合ではない。 その記憶の正体が夢であるならば、昨日自分は何をしていた? 開発、演習、遠征、執務、大本営に呼び出され、駄目出しされ……。 「…………!」 勝手に夢にするな。全て現実だ。 自分は、取り返しのつかない事を……。 いや待て。それなら自分がこうして服装の乱れ一切無く寝具に包まれている筈がない。 軍服のまま眠る習慣はないのだが、多分昨日の疲れでそれすら覚えていないんだろう。 起き上がって時計を見れば、起床時刻前だ。 随分と疲れが抜けた体は良い目覚めだろうが、精神的にあまり良い目覚めでないのは何故だろうな。 起き上がって私室を出ると、執務室中央のテーブルを囲うソファに、霞が腰掛けていた。 「おはよう」 「……おはよ」 霞は私の挨拶にも短くだが応じた。 ちらりと一瞥だけでもくれる霞は何時もと変わらぬ様子に見えた為、自分は安堵した。 やはり昨日のアレは、夢だったのだ。 霞、食堂へ行くぞ。 「もう食べたわ」 もう食べた? なんと早い。 起きるのは私より早くてもいいが、食事位は共にしたいぞ。 しかし過ぎた事を求めても仕方が無い。零れた水は盆には帰らない。 霞は執務を進めると言うので、お言葉に甘えてテーブルに少しの紙の束を置き、自分は食堂へ向かった。 朝の身支度も終わり、その後は自分も執務を進めようと戻った。 その頃には霞は私が提示した少しの執務を全て掃いてしまっていたから優秀だ。 それから暫くは自分の分の執務を進めていたのだが、妙だ。 "ちょっとぉ! この大事な時に艦隊を待機させるって、どういう事なの? ねえってば!" 今日の霞ときたら、いつまで経ってもこのように此方を急かそうとしないのだ。 どうしたかと悟られぬようにソファの霞に視線を向け様子を探る。 ソファに腰掛ける霞は膝上で小さく拳を作り、やや俯いたまま何処も動く気配がない。 おかしい。能動的な霞としては異常だ。 いや、能動的云々の前に像のように微動だにしないので機能停止していないか心配だ。 「霞!」 「っ、……何よ」 良かった。振り向いてくれた。機能停止してはいない。 いないが、反応が普段より遅い。寝ぼけているかもしれない。 自分は執務を取り止め、霞の手を引こうとした。 霞、少し運動しに行くぞ。 「え、う、嘘でしょ、いっ! たぁ……!」 「霞……!?」 自分はそれ程力を入れていない。 霞を立ち上がらせようと霞の手をくいと引っ張り上げただけなのだ。 しかし霞は、立ち上がったはいいが歩く事すらままならずその場で倒れこんでしまったのだ。 自分は咄嗟に屈んで霞を受け止め、床との衝突を回避させた。 だが、霞が苦痛に喘いで下腹部を抑えて蹲るその様子は、自分に良くないものだった。 脳裏に蘇る、夕べの記憶。 自分は霞を座らせ直してから、床に跪いた。 「霞、昨日はすまない……!」 「……思い出したようね」 最初から忘れて等いない。夢だと思い込んでいただけだ。 どうもおかしいと思っていたが、合点が行った。 自分の推測で補完すれば、霞は私が疲労で意識を失ってから後始末を行った。 動くのが困難になった霞は、このソファで眠りについた。 起床した私は忘れていると思い、食事もせずひた隠しにしようと嘘をついた……。 霞、何故責めないのだ。 霞を傷つけたのだ。 この罪はどうやっても償えない。 そうだ。せめて。 「責任を取って切腹を……」 「やめて!!」 私の自責の念は、霞の悲痛混じる大声で遮られた。 思わず顔を上げる。 霞は、見た事もない程顔にその感情を滲ませていた。 「あ……、なんでもないわ」 何故そんな事が言えるんだ。 何故撤回しようとするんだ。 霞は目を逸らして一つ咳払いをしてから、跪く私の目を覗き込むように顔を近づけた。 もう普段通りの吊り目が顔に作られていた。 「馬鹿でしょ。クズ司令官が死んだところで私にした事は消えないし、それに、他の艦の事はどうするのよ」 私より軍に向いているであろう士官なんかごまんといるだろう。 こうして艦娘に当たる自分よりマシな人間が後任に就く可能性は高いはずだ。 それに、死ねば消えると思って言っているんじゃない。 「責任取るって言うのなら、ちゃんと取りなさいよ。死ぬのは逃げの一手にしか見えないから」 それは……。 そういう考え方もできる。 私は納得してしまい閉口せざるを得なかった。 少しの沈黙が流れた後、霞は静かに口を開いた。 「昨日の話だけど、私は、あんたのやり方は嫌いじゃないわ。 私は別に、上の人間に従えって言ってるんじゃないの。 あんたはやり方が悪いんじゃなくて、やり方に見合った実力が足りてないだけ」 「だから、今は黙って私について来なさい。ガンガン行くから」 霞は、よく注意して見ないと分からない程度だが、私には笑っているように見えた。 嗚呼、優しさが身に染みる。少し優しさが過ぎるんじゃないか。 何故そこまで前向きに考えられるんだ。 全く、秘書はこんなにもできた艦なのに、昨日の自分は本当に何本螺子が飛んでいたのだ。 思えば、昨日の霞は単に私を励まそうと、慰めようとしていたに違いない。 自分が勝手に曲解して一人で暴れて霞をとばっちりに合わせただけなのだ。 阿呆だ。海軍軍人最大の阿呆だ。 そんな自分の部下である筈の此奴はこうも変わらず偉そうな口を叩くが、 実際それに見合った実力があるのだ。私とは違うのだ。 最早ついていけるか不安もあるが、ついて行ってやる。 霞らしくなくなってしまうから、待っていろ、とは言わない。 今は霞の背中を追うが、やがては追い付いて肩を並べ二人三脚が出来るくらいまで成長し、 あの憎たらしい大本営に勲章を出させてやるのだ。 私の戦いはまだまだこれからだ! 「司令官、何故今日は霞を負ぶっているのですか」 おはよう朝潮。 いや何、霞は昨日の夜戦で被害を受けてしまってな。 自身では動けないと言うからこうする事で秘書艦と行動を共にしているのだよ。 「ええっ! 霞は大丈夫なんですか!? それなら修復ドックに……」 修復ドックでも治せないんだ。しかしこうして私の背中にいればそのうち治る。 私の背中は特別な修復ドックでもあるのだ。すごいだろう朝潮。一隻限定だぞ。 「へぇー……!」 「朝潮、嘘だから真に受けないでよ」 違うと言うのか。 ならこの背中を降りて修復ドックに浸かるか? この問い掛けに、霞は返事をしなかった。聞こえていない振りか。 こうして私に身を委ねる霞の今の心境は如何ほどのものか。 きっと吐露しようとはしないだろう。 しかし、吐露してくれなくても分かる事はある。 霞は私の首に腕を巻き付けつつも、首が絞まらないように気遣ってくれている。 人の背中に体を預ける以上それは当たり前の事なのだが、 私に身を預ける事に何ら抵抗を示さないだけでも霞は私の事を蔑ろに思ってはいないと言う事だ。 私も吐露はしないが、昨晩あんな事をして置きながら態度を変えない霞が今は愛おしくてたまらなかった。 霞の嘆息をうなじで受けながら、私は霞と朝潮と共に食堂へ向かう事にした。 「あーもう、司令官が出来損ないのクズだと苦労するわ……」 177 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 02 55 ID G9FxYqM2 以上 15-188の続きみたいなもんで 霞好きな人を増やしたい 霞だって可愛いところはあるのよ 178 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 28 19 ID TKrX5a/c GJです! 179 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 10 35 55 ID Kw92rUww GJ。 霞は最近もっとあの隠れ面倒見の良さとか振り返られていいと思う これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/103.html
コン……コン。 控えめなノックが、執務室に漂う夜の静寂を打ち破った。 「入りたまえ」 僕は努めてぶっきらぼうに、ドアの向こうの気配へと声をかける。 「て、提督、失礼……します」 おどおどした様子のひとりの少女が、月明かりだけが照らす執務室の扉を開いた。 「い、磯波……です。ご、ご命令により……出頭いたしました」 消え入りそうな声で彼女は名乗り、執務室の入り口で敬礼をした。 僕が黙って頷くと、磯波は真鍮のドアノブを回し、静かに扉を閉めた。 しばし僕は、青白い月の光に浮かぶ磯波の姿をしげしげと観察する。 穏やかな波間を思わせる、三つ編みの黒髪。日々、遠征の任に駆り出されながらも白さを保つ若々しい肌。 膝より少しだけ高い、吹雪型のセーラー服から垣間見える、柔らかそうな太腿――。 普段彼女が足を踏み入れることも、いや、直接的に話したことさえも殆どない僕の部屋に 招かれた彼女は、いつにも増して小さく、儚く見える。兵装が完全に解かれている今は尚更だ。 現に、この部屋の中にいるのは磯波と僕だけだというのに、彼女は一向に僕と目を合わせようとしない。 照明が完全に落とされた執務室の中、磯波の長いまつ毛の奥にある瞳は、内股に寄せられたブーツへと 所在なさげに落とされたままだ。 ふぅ、と僕が大きくため息をつくと、それだけで磯波は細い肩をぴくっと躍らせた。 それでも僕は黙ったまま、磯波に更に視線を注ぎ込む。 「……ぅう」 磯波は、吹雪型が揃って纏うセーラー服の胸元の紐をいじりながら、チラチラと僕を見た。 僕からの一言を引き出そうと、必死のようだった。 海から吹き込む穏やかな風が窓から吹き込み、白いカーテンを揺らす。重たい空気の中、 時が確かに進んでいることを示すかのように。 だが、それでも僕は革張りの椅子に深く腰をかけたまま、彼女をじっ……と見つめたままだ。 磯波は、震えているようにさえ見えた。 「あっ……あのう……提督」 部屋の隅と僕の間を、まるでげっ歯類の動物のように素早く、しかし居場所なさげに視線を 揺らしながら、磯波がようやく唇を開いた。 「磯波に……何かご用でしょうか?」 彼女がこの鎮守府に配属されて2週間。僕は初めて、その声をまともに聞いたような気がした。 それは、本当に女の子らしく、か細く……そして消え入りそうな声だった。 仮に月が雲に隠れていて、磯波の実体が目の前に映し出されていなければ、耳に届いてさえ いなかったかもしれない。 磯波はそれ程までに控えめな声で、ようやく言葉を口にしたのだった。 僕はその声の余韻を耳に感じながら、彼女を手招きする。 部屋に入ってからというもの、一歩たりとその場を動かなかった磯波が、ようやく小股で 執務机へと近づいてきた。しかし絨毯が敷いてあるとはいえ、足音がほとんどしない。 意識的に音を殺しているのだとすれば、どれだけ自分に自信がないのだろうか。 ――もっとも、僕が彼女をこの部屋に呼んだ理由は、まさにそれなのだけど。 磯波は思った通り、執務机の前にたっぷり1メートルの間を取って、僕の正面に立った。 僕からは机を挟んで、ほとんど2メートルも離れていることになる。 「はぁ……」 予想はしていたことだが、僕は思わず2度目のため息をつき―― 「磯波?」 ようやく彼女の名前を口にした。 優しく名前を呼んだつもりが、彼女は身体を強張らせ、両目をぎゅっと閉じてしまった。 言い訳もできず、叱られるのを待つだけの子供のようだ。 「自分がどうしてこの部屋に呼ばれたか、分かっているかい?」 首を縦にも、横に振るでもなく、ますます磯波は体を小さく、固くしてしまう。 僕はほの暗い中、デスクの書類受けに手を伸ばした。 「磯波、配属されてどれくらいになった?」 「えっ?」 「二週間だ」 忠実な秘書艦娘が纏めた数枚のレポートをぱらぱらと捲り、そのうちの一枚を彼女の方へと差し向ける。 「見たまえ」 磯波はまるで危険な生き物にでも触れるかのように、コピー用紙におどおどと手を伸ばす。 暗闇の中では読みづらいのだろう、柔和そうな垂れ気味の目が細められ、書類を走った途端―― 「あ……ぅ……!」 磯波は驚愕とも恐怖ともつかない顔になり、そのまま硬直した。 「それは君の、ここ二週間の成績を纏めたものだが、見てのとおりだよ。残念ながら 、先輩諸氏のような戦績を残せてはいない。遠征にしても、作戦にしても、だ。分かるね?」 「は……はい……」 磯波はがっくりと肩を落としたまま、細い首を小さく縦に振った。 「同じ吹雪型と比較すると、なおのこと顕著だ。どうしてこんなに差が出るんだろうな? ん?」 月明かりのせいでなく、磯波の顔は、真っ青だった。 「あのっ……あの、提督……!」 磯波はレポートを持つ両手を強張らせながら、何かを伝えようと必死だった。 「これは……そのっ、私……」 「それに聞いたところによれば、何度か他の艦娘と衝突しかけたとか?」 意見しかけた磯波を、僕はより強い言葉で一蹴してやる。 「その衝突が原因で隊は陣形を乱し、結果的に燃料と弾薬を海中に失ったそうじゃないか……」 磯波は口を開いたまま、自分の意見を完全に失っていた。息をするのさえ忘れていそうだった。 「あの日は悪天候だったからな。遠征の報告書には、荒天に伴う高波の影響で物資を消失した、 とされていたよ。正式な報告書には、君の不始末はひとつも上がってきていない。言った通り、 あくまで『噂』だ」 磯波は魂が抜けたような、愕然とした表情のまま、何も映ってはいないであろう瞳をレポート用紙に 落としている。提督である僕と会話していることさえ、否定するかのように。 「だが、君の成績を見るにつけ、一度直接に確認しておかねばと思ってね。磯波、衝突は真実か?」 答える代わりに磯波は、よろけるように半歩、後ろに下がった。 「どうした磯波、答えたまえ」 「……う……わ、わた……」 「磯波! はっきり答えたまえ!」 焦れた僕は、少しだけ語気を荒げ彼女の言葉を再び遮った。それだけで―― 「くぅ、 う……」 どこまでも静まり返った部屋に、たっ、たっ……と、絨毯に雫が落ちる音が響いた。 磯波の、涙だった。 磯波は薄い唇を噛みしめ、必死に涙を堪えようとしている。しかしその意志とは裏腹に、 熱い雫が白い頬に幾重もの軌跡を描いては、カーテンを透かす星の光に輝いた。 「それが貴艦の答えか、磯波?」 僕は椅子から立ち上がると、磯波の方へとゆっくり近づいていく。 「その涙が、僕に対する答えだというんだな?」 静かな僕の怒声に、ひんっと磯波が子犬のように鳴いた。 そしてまるで磁石の同極のように、僕が近づいた分だけ離れようとする。 だが、逃がすつもりは毛頭ない。 「どこへ行くんだ」 磯波の細い手首を、僕はがっしりと掴む。 「いや……あっ!」 磯波はレポートを取り落とし、僕から逃れようと顔を背けた。 「その涙が何で出来ているか、分かって泣いてるのか! 答えろ磯波!」 「うぅっ、は、放してぇ!」 「貴艦が目からこぼしているそれは、何だと聞いてるんだ、僕は!」 抵抗しようとする磯波の手を振り払い、僕はもう片方の手で磯波のきれいに編み込まれた おさげを掴み、容赦なく引っ張った。 「きゃあぁぁ!?」 磯波の悲鳴と散らした涙がきらめいて、暗黒の絨毯へと吸い込まれていく。 「提督ッ! うあっ、痛い、いたいですぅっ!」 「まだ『無駄』にする気か、その涙を、あぁ?」 悲鳴を上げるのも構わず、僕は磯波の小さな耳を引き寄せて、息さえかかるであろう距離で言い放つ。 「貴艦が流しているそれは、戦列を同じくしている駆逐艦娘達が運んできた『燃料』だろうが!?」 抵抗する磯波の体から、ふっと力が抜けたのが、良く分かった。 「日々危険な海域を掻い潜り、やせ細る兵站を何とか維持しているのに……何だ貴艦は? 燃料一滴持ち帰れもせず、ロクな戦果も無いくせに、のうのうと補給まで受けて、更に無駄遣いか!」 返事がない中、「ふっ」と僕は小さく鼻で笑い、もう一言。 「磯波……我が鎮守府はね、常に逼迫しているんだよ。燃料も弾薬も……それに鋼材も」 力の抜け切った磯波の腕を放し、僕は頬を伝う涙を指で掬った。人間のそれと同じく、熱い。 「この涙さえ、一滴も無駄にはできないんだぞ?」 言って、朴は磯波の雫を口に含んで見せた。 塩辛く、ほのかに甘い味が舌に広がり、消えた。 「常勝無敗、そんなもの僕は端から求めていやしないさ。だがね、子供のお使いにも劣るような 近海の輸送任務も果たせず、あまつさえ味方に損害を与えてしまうような艦は……僕の手には 少々余ってしまってね」 「あ……あ、ぁ……」 「君の処遇は、試験運用期間の終わりを待つまでもなく決まりそうだ、磯波。貴艦の意向は既に伺ったしな」 「え……?」 顔を背けたままの磯波が、怯えきった表情で僕を見つめた。 「わたし……まだ、何も」 「何を言ってるんだ、貴艦は。僕は確かに『聞いた』よ?」 磯波の細い肩にぽんと手を突き、僕は笑顔で首を横に振った。 「僕の質問に対して、磯波。貴艦は無言だった。即ち衝突の一件は申し開きの余地無し、と。そうだな?」 ただでさえ青白かった磯波の顔から、さああっと音を立てて血が引いていった。 「ち、ちが――」 「磯波、貴艦は最期に正しい判断をした。衝突した艦を修理するために、自ら一肌脱いで――」 「だめっ……提督! い、嫌……いやあぁ……ッ!」 僕の最後通告は、磯波のか細い悲鳴にかき消された。 硬直したままだった磯波の身体が急にがくがくっ! と震えたかと思うと―― ぽたっ、ぱたぼた……っ。 スカートの下から漏れ出した雫が、絨毯に染みを広がらせていく。やがてその波は勢いを増し―― しゅわああ、あああ……。 あふれ出した温かな金色の流れが、湯気を上げながら絨毯へと降り注いだ。 太腿にも幾筋もの細かな流れが至り、紺のハイソックスをしとどに濡らしている。 「うぅっ、うううう~ッ……」 磯波は絶望とも、解放ともつかない声で呻いた。きつく閉ざされた瞼の間からも、まだ涙が溢れている。 僕がおさげを放してやると、磯波は自分の作った水たまりの上に膝を折りへたり込んだ。 まだ全てが出切らないのだろう。細い肩を震わせ、磯波は両手で顔を覆い、すすり泣いている。 「ふっ、何だ貴艦は。燃料タンクにも欠陥があるのか?」 たった今、体を離れたばかりの生暖かく、そして若々しい磯波のにおいを吸い込みながら、僕は笑う。 「貴艦の姉さん達が聞いたら、さぞ悲しむだろうね。それこそ姉妹などとはもう――」 「いゃ……です……! て、と……く……!」 磯波は顔を覆っていた両手で濡れたスカートの裾を握りしめ、僕を食い入るように見つめていた。 「提……督……! 磯波の、お願いです……!」 そして涙に揺れる瞳に、ありったけの哀願と崩壊寸前の理性を浮かばせ、 「か、解体だけは……どうか……許してください……! えぐ……ひうっ……うぅぅ……」 何とかそれだけを言い切ると、磯波は天井を仰ぎ、静かにすすり泣き始めてしまった。 「すんっ……まだっ、まだ、磯、波は……うあぁ……あぁ……ぁぁ……」 僕の乱暴な扱いに抗ったからだろう。セーラー服はすっかり着崩れ、さらけ出た肩が夜風に震えている。 月夜に照らされながら細い顎を上げて涙にくれる磯波は、船首をもたげて静かに沈んでいく軍艦を思わせた。 磯波は、完全に堕ちかけていた。このまま放っておけば、手を下さずとも次の作戦あたりで 沈むかもしれない。 静かに彼女が朽ち果てる姿を見ていることもできる。だが、僕はそうはしなかった。 ――そうしては、意味が無いのだからね。 「磯波……解体は、嫌か?」 磯波はうっすらと黒い瞳を開き、言葉を知らぬ子供のようにこくっと頷いた。 まだ、魂は生きているようだ。そこは艦娘、歴戦の軍用艦の名を引き継ぐ少女達である。 「そうか……だが磯波、僕は貴艦を今のまま運用することはできない。故に『改造』する」 「かい、ぞう?」 「あぁ、そうだ」 言いながら、僕は磯波の前にしゃがみ込んで視線を同じくした。 「磯波……人にも艦にも、『向き不向き』がある。僕は貴艦らのようには戦えない。しかし、 貴艦らを率い、深海棲艦に立ち向かう術を与えることはできる。『適材適所』とでも言おうか」 「はい……」 磯波は時折しゃくりあげながら、涙声で応じる。僕はゆ磯波が落ち着くのを待ち、続ける。 「磯波、君は艦娘ではあるが、今はたまたま、戦いに『向いていない』だけかもしれない。 ならば、貴艦は生まれ変わらねばならない。貴艦が建造され、進水され、この鎮守府に就役した ことに、意味を持たせる。それは貴艦を『改造』する事のみによって成し得ることだ。分かるね?」 「は、はい……!」 磯波は若い。蒼白だった頬に血色が戻り、何も知らない子供同然の瞳に、月と星の光が再び 差し込んでいる。暴れて着崩れたセーラー服の奥で止まりかけていた心臓が強く動き出して いるのが手に取るように分かった。 僕はよし、と小さく頷く。 「磯波、では早速だが、改造の儀式に移る。深呼吸して、息を整えろ」 「はい、提督!」 磯波は袖で顔を拭うと、言われた通り、二度、三度と胸を開いて大きく息を吸い、少しむせながら 吐き出した。 「よおし、いいだろう」 僕は人差し指を柔らかな磯波の頬に寄せ、拭いきれなかった涙をそっ……と掬い取る。 そしてその指を、ゆっくりと磯波の鼻先へ。 「磯波……目を離すな。僕の、貴艦の提督の、人差し指から」 「はい……」 磯波の黒目がちな瞳が、しっかりと、僕の指先を捉えている。 「貴艦を改造する第一歩、それは、貴艦自信をよりよく知ることに他ならない」 「はい……」 僕はその視線を試すように、ほんの僅かに指を右へ、左へと動かしながら、静かに囁く。 「磯波、僕はこれからひとつ質問をするが」 「はぃ」 「貴艦はその答えを、もう知っている。僕は既に、貴艦に答えを与えている。磯波……いいね?」 「は…………ぃ」 極度の集中からか、磯波の表情は虚ろになりつつも、その唇は既に僕がこれから命じようと してることを鋭敏に察していた。 僕は磯波の正中で、ぴたりと指を止め、問う。 「磯波……貴艦の身体から零れた『これ』は、何だ?」 磯波は答えるよりも早く、そっと唇を開き―― 「んっ……」 僕の指を、優しく暖かな口の中へと運んで、ちゅぱっと涙を舐めとった。 「ん……ふっ……。『これ』は、皆が運んでくれた……燃料、です……提督」 「良い娘だぞ、磯波」 優しく頭を撫でてやると、雲間を抜けた月の光が、ふっと強まった。 カーテン越しに届くその静かで鮮やかな白に照らされた磯波の表情を見て、僕は少し驚いた。 磯波は、笑顔を浮かべていた。 「あ、ありがとうございます、提督……」 思わず細められた磯波の眼から、悲しみや恐怖とは違う涙がこぼれる。 「おっと、磯波?」 「も、申し訳ありません……れろ……んちゅ」 咄嗟に僕が手で受け止めたそれに、磯波は躊躇なく滑らかな舌を這わせ、丹念に舐め取る。 「は、初めて……だったので、つい」 「何がだい?」 「そのっ、提督に……褒められたのが」 磯波は僕の手を取ったまま、はにかむように小さく、口もとだけで笑った。 瞳からまた涙がこぼれるのを防いだつもりだったのかもしれない。 ――成程、健気で……想像以上に早い『仕上がり』だな。 「磯波……!」 次の段階の到来を感じた僕は、へたりこんだままの磯波の足元へと手を伸ばした……。磯波ちゃん×提督6-853に続く
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/91.html
「昇進するって、誰が? …えっ、あんたが!?」 私の言葉に司令はコクリとうなずいた。 そして、口で何か言う代わりに、本部からの高速暗号通信を見せてくる。 いつだって、この司令官は無口なのだ。無口で、鈍感。 「ちょっと見るわよ…へーぇ、こんな大艦隊を指揮するようになるのね、あんたもやるじゃない」 通信文には、私の司令官を海域突破の功によって昇進させる旨、そして新しく彼の旗下に入る艦隊の詳細が書かれている。 その艦隊に、私、叢雲はいない。 「ふぅん、やっぱり配属は変わるのね。でも、気候もいい土地じゃない。ま、せいぜい頑張りなさい」 次なる彼の赴任地、これも、ここから遠く離れた南方の泊地だ。 要するにこの通達は、私たちの関係の終わりを示していた。 もちろん、関係、って変な意味じゃないけれど。 彼が司令官としてここに着任して以来ずっと、司令と旗艦という形で上手く(まぁ、衝突もそりゃ絶えなかったけど)…上手くやってきたこの間柄も、もう終わりなのだ。 …あぁいけないいけない。私がこんなしんみりした調子じゃ。 こいつはこれから大事な艦隊を預かる身なんだから、気合いを入れてやんなくちゃ。 「ほら、なーにをしみったれた顔してんのよ! 昇進よ、嬉しくないの!? この私が喜んであげてるのよ?」 そう言ってぺしっと肩を叩いてやると、ようやくこいつも我に返ったらしい。 若く精悍なその顔が、こっちに向き直る。その仕草に、一瞬ドキッとしてしまう。 「あ…あぁ、いや、すまない。ちょっと俺も気が動転したんだ」 「こっちの台詞よ。ヘボでモグリのあんたが出世するなんてね…ま、素直に祝ってあげるわ。まだ、言ってなかったわね…おめでとう」 「ああ。ありがとう…」 私からの祝福に、司令は肩をすくめてお礼を返してみせる。 「うん、本当によかったわね…さて、夜も遅いし私はおいとまさせてもらうわ。あんたも明日から任地へ向かうんでしょ? それじゃ、おやす…」 「ま、待ってくれ…叢雲っ!」 突然に、司令は私の手をぎゅっと握ってきた。 今まで私の手や肩に、触れようとしたことさえなかったのに(まあ私が、酸素魚雷を食らわせるぞって、最初に脅したせいでもあるんだけど)。 おかげで私はすっかりパニクってしまう。 「そ、その…なんだ、ほ、本当にありがとう…叢雲」 「へっ…な、何!? どうしたってのよっ!?」 「い、いやその…お前には、ここに着任したときから、ずっと色々、艦娘の扱いとかを、お、教えてもらってきただろう!? だから俺は叢雲に、す、すごく感謝しててだな…!」 私の目の前で司令は、口をぱくぱくさせて、言葉をつっかえさせてる。慣れないことをするからだと思う。 顔までそんなに赤くしちゃって。 正直ドギマギして、こんなこと言われるだけで心臓をばくばくさせてるのは、私の方だっていうのに。 「む、叢雲っ、俺は…お、お前のことがっ…」 「ちょ、ちょっと離してってば、バカ!!」 あろうことか、私はその手をふりほどいてしまった。 その瞬間、司令の顔が、子供のような呆然とした表情に変わるのが見えて、私の胸がちくりと痛む。 「…………!!」 私は、もうおやすみの言葉も言わずに、後ろを向いて駆け出すと、執務室を後にしてしまった。 取り残されたように佇む司令を、一人そこに残して。 私の、バカ、馬鹿、ばか。 私は部屋に帰ると、寝巻きにも着替えずにベッドに突っ伏していた。 どうして私は、私を求めてくれる司令の手をはたき落として、拒絶してしまったんだろう? 司令は私との別れをもっと惜しみたかったのかもしれない。 司令は私を……好き、だとかなんとか、言ってくれるつもりだったのかもしれない。 司令は私を、抱きしめてくれようとしたのかもしれない。 でも、そのどれもを私は、あんな風に手を払いのけて、突っぱねてしまった。 「…なんで、素直になれないかなぁ…私」 無口でモグリで融通が利かないけれど、そんな司令に、私は…いつの頃からか好意を持っていた。 ううん、好意なんてもんじゃない。好き。 いつか私の口から言おうと思っていた、その言葉。 それを朴念仁のあいつの方から、しかも明日には別れるという頃になって、あんな風な余裕もない、ムードもない告白をしようとするもんだから。 だから、私は嫌になって逃げ出してしまったんだろうか? …けれどもう私には、今から引き返して、彼に好きなんて言うことは出来ないだろう。 私にはその勇気がない。資格もない。 ホントはあいつは、有能だ。この水雷戦隊を率いるだけに収まる器ではないのだ。 いち駆逐艦にすぎない私が、彼を引き留め、栄光の座から遠ざけるなんてことは、きっと、誰のためにもならない。 そう、だから私は、自分からこの恋を諦めることに決めたんだ。 「……ん、あれ…な、何でかしら…っ」 そう考えると涙が次々、つぎつぎと溢れてきた。 彼を思う涙だろうか? …いや、この先いくらでも出世して、人の尊敬を集めるだろうあいつの未来を考えたら、涙なんて流れるはずはない。 これは自己憐憫の、汚い涙だ。私は流れ出るソレを拭う。消えてしまえと思う。 私は、暖かく湿らせたタオルを目にかけて、横になって眠ろうとした。 泣き腫らした目なんかで、彼を見送るわけにはいかない。 明日は笑顔で、あいつの門出を見送ってあげなくちゃ――。 (あ……司令の…うで、だ) 夢の中で、私は司令官の腕につつまれていた。 たくましい腕が、私の髪や頬を優しく撫でさする感触が伝わってくる。 それが夢だと気づいたのはもちろん、今まで司令がそんな風に私に触れたことなんて、一度もないから。 すぐに、こんな破廉恥で虫のいい夢を見る自分を、あさましい女だと思った。けど同時に、もう少しだけこの夢に浸っていたいと思う私がいる。 夢の中の彼は、私の上に覆いかぶさるようになったかと思うと、次の瞬間、私の唇にそっとキスをしてくれた。 それだけで私は嬉しくてたまらなくって、涙が出そうになる。 (司令……司令っ…!) 声を出して彼を呼びたかった。けれど私の喉は張り付いたようになって、何の音も漏れない。 これが夢の不条理というやつ? そうして私がおとぎ話の人魚姫のように声も出ないままでいるうちに、今まで私の髪や頬を撫でていた彼の腕が、だんだん下の方へ伸びていくのを感じた。 (えっ……ちょ、ちょ、ちょっと!! ダメ、ダメだって!!) 頭ではそう思いつつ、私は制止することが出来なかった。 どうやら、声が出ないのと同じく、私は手も足も、文字通り指一本動かせないのだ。なんて夢。 抵抗できない私をよそに、司令の手は、私の薄い胸の上を、無造作に突き出た足を、スカートとストッキングに守られた私のお尻の上を、欲望に突き動かされたような手つきで這い回っている。 暖かい口づけをしてくれた彼の唇からも、いつしか、荒い、興奮した様子の息が漏れていた。 と、私の下半身を探っていた一方の手が、スカートの下に潜り込むと、私のストッキングとその下のパンティを、いっぺんに掴んだ。 (やっ…やだ…!! ありえないっ…!!) たとえ夢とはいえ、こんなこと、私は望んでない! 私は必死に目を見開こうとした。夢の中で、目を覚まそうと。 (……え?) 私は一瞬、状況が飲み込めなかった。 何が起こっているのか。私の体に、何が行われてるのか。 「叢雲…叢雲っ…!」 目を開けると、さっきの夢とよく似た光景がそこにはあった。 私の体はベッドに横たえられている。 そしてそんな私の上に、司令が――信じられないけれど、今度は夢ではない――司令が、覆いかぶさっている。 けれど、感触は。胸や、背中や、お尻や…口では言えないようなところまでを、ところ構わず這い回られる、その感触は。 夢の中よりずっとリアルで生々しいもの。 そう、夢の中と同じく私の体は、ベッドに這いつくばって私を見下ろす司令の指に、手によって、蹂躙されていた。 (し…司令…!? ちょっとウソ…何を…っ!) 叫ぼうとしても声が出ない。こんなところまで夢の中と同じなんて。 けれど少し事情が違うのは、私は理由なく声が出せない訳ではなく、口に詰め物がされているのだった。たぶん私が寝る前に瞼に被せた、温タオル。 身をよじらせて抗議しようとしたけれど、どうやら腕は、すでに脱がされた私自身の上着で、頭の上でひとつに縛られ、動けなくされている。そして足は司令の膝の下に抑え込まれていた。 私が夢で触れられているとか、動けないと感じていたのは、全部、現実に起こっていたことだったのだ。 執務室を飛び出たあと私は、たぶん鍵をかけることも忘れて、寝入ってしまったんだろう。 夢の中のすべては、寝ている間に彼が部屋に忍び入って、私の体にしたこと。きっと、もっと乱暴だったに違いないけど。 (どうして、こんな……っ!!) あまりの理不尽に、困惑や涙より先に、怒りがこみあげてくる。 これではまるで、レイプだ。 私は組み敷かれて、動けない体をいいようにもてあそばれている。 それも見ず知らずの誰かでなく、想いを寄せていた相手に。 なんで、こんなことを、と叫びたかった。 私が何度か首を振ってもがくと、ようやく口にされていた詰め物が唾液の糸を引いて取れた。 「や…やめなさいっ!! あ…あんたっ…なに考えてるのよっ!!」 私の声は、自分でもみっともないほど恐怖に震えていて、ほとんど意味を成してなかっただろう。 けれど司令は、それで声を抑える詰め物が取れたのに気づくと、とっさに自分の手で私の口を再びふさぎ、私はまただんまりを強制された。 その時、私に向けられた目は、あの時、執務室で私がその手を払いのけた時と同じ、子供のような―― 泣き出す直前の子供のようなあの目と、そっくり同じだった。 私に向き直ったのは一瞬だけで、すぐに司令は、私の首に顔を埋める。 そして、唇が私の首元に近寄せられ、激しいキスのような勢いで、その部分が吸われた。 (~~~~~~~っっ!!!) 甘い電流のような痺れが、私の体を襲った。 ちゅうっ、と音が立てられるのを、私の頭は、あの夢の優しいキスの続きででもあるかのように錯覚してしまう。 「叢雲…」 司令はうわ言のように、私の名前しか繰り返さない。 彼は私の首の付け根から離れると、その唇をさらに下の方へ、鎖骨を下り、私の胸へと滑らせていく。 そうだ、もう上着は脱がされているのだから、私の胸は裸のまま、たぶん私が起きたときからずっと、彼の前にさらされていたのだ。 そのことに今さら気づいて、私はかあっと赤面する。 そんな私にお構いなく、司令の温かい唇は、私の肌の上を転がるようにして、ついに胸の先端にたどり着くと、それへと舌を這わせた。 (い…やぁっ…! ………ああぁっっ…!!) きっと、口をふさがれていなかったら、乞うような嬌声を上げてしまっていただろう。 まるで彼に触れられた部分に次々新しい神経が通っていくみたいに、全身の感覚が一点に集中する。 舌で舐られるたび、私の胸の先っぽが、もう快感につんと立って主張しているのが自分でもわかって、また火が出るほど恥ずかしくなる。 こんな乱暴な愛撫の一つ一つに、私の体が馬鹿みたいに反応してしまっているのに、彼もとっくに気が付いているはず。 手に唇に触れられただけでビクンと体は震え、耳も顔も真っ赤になってる。 私のこと、夜這いをかけられて、組み伏せられて、興奮してしまうようなヘンタイ艦娘だって思うだろうか? (私だって…ホントはこんなの……っ!) ホントは、こんな風なの、望んでなんかいない。 私だって、恋をする女の子だ。司令の腕に抱かれたり、ついには体を許してしまうのを、想像したことだって幾度かある。 けれどそういうのは、愛の言葉を囁いたり、おたがい抱きしめ合ったり、キスをしたり、そんな優しい、愛の手続きの後で行うものだって、そう私は空想していた。 それなのに、何で、こんな――。 必死に足を動かして、彼の体の下から逃げだそうと試みるけれど、膝から下を体重をかけて抑え込まれているから、もがくことしか出来なかった。 しまいには口をふさいでいる手にかじりついたりしたけど、ちっとも動じない。 そうこうしているうちに、司令の自由な方の片手が、私の太股の部分に、すっと触れる。 手のひらと四本の指は、ストッキング越しの足の手触りを楽しむように、そして親指は、私の下着のクロッチ部分の上に―。 (――やっ……あっ、ありえないって、こんな…!!) 自分でも触れたことのない部分を刺激されて、未知の感覚が私を襲う。 司令の親指は私の女の子の部分を、その縦筋を二重の布の上からたしかめるように、何度も上下する。 そのたびに痛いような、疼くような、もどかしい感じが私の頭に走り抜けるのだ。 やがて二本、三本と、ぜんぶの指が責めに加わった。 まるで私のあそこがすっぽり、彼の手の中に収められてしまったみたいな感覚。 上も下も、すべての部分を、絶え間なく私は責め立てられてゆく。 くち、くち、と下着の中からは、おしっこを拭くときみたいな、恥ずかしい水音が漏れている。 私の耳にも、彼の耳にも聞こえる水音が、響きわたる。 ずっと、はぁはぁと荒かった司令の息づかいが、さらに昂ぶるように、速まっていく。 恐怖と、恥ずかしさと、困惑と、気持ちよさで、私がもう何もわからなくなりそうになった頃。 びびびっ、と音を立てて、ストッキングが破られた。 (あ……) ちょうど股間部分が破かれて、空気にさらされたのが分かる。 続けて、いつの間にベルトを外したのか、司令は軍袴を膝まで落とすと、性急な手つきで下帯も脱いだ。 暗くてはっきりとは見えなかったけれど、黒々と屹立したシルエットが、その下から現れていた。 「叢雲――」 激しい息づかいの中で私の名前を呼んで、司令が、私により深くのしかかる。 くい、と、パンティが指で横にずらされたらしかった。 そうして露わにされた私の大事なとこに、こんどは指じゃない、さっきの屹立したモノが、あてがわれる感触がある。 熱いソレが、にゅち、にゅち、とぬめる入り口を、なぞっている。 いやだ。 背筋に悪寒が走る。 私は、他の艦娘にくらべて、エッチのこととかなんとか、そういう興味は薄い方だと思う。 他の子たちが、キャーキャー言いながら回し読みする春本だって、ほとんど手にとって眺めたりしなかった。 けれどこのとき、司令がこれから何をしようとしてるのか、直感的に私は悟った。 いやだ、やめて! あんたのこと、嫌いになりたくない。 お願い。 口を動かせない私の頬を、涙がつたった。私の口をふさいでいる司令の手にもそれがぽたぽたと落ちる。 司令がはっと気づき、私と彼の目と目が合う。 むらくも、と彼の唇が動く。 彼の目に、いま私はどう映ってるんだろう? 元秘書艦の女の子? それともただの性欲のはけ口? さんざん生意気で横柄な態度をとっておいて、いざ押し倒されたら涙で許しを請おうとする、馬鹿な小娘? 「お前が…お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…」 その言葉は、まるで司令が自分自身に言い聞かせてるみたいだった。 それだけ呟くと、彼は私の顔から目をそらして。 一気に腰を進めた。 (…………………っ!!!) ぷつっ、と。 何かが弾けるような感触と共に、私の中に、熱いものが押し入った。 ダメ、痛い。やだ。やだ。やだ。やだ。痛いっ、痛い! 頭には、それしかない。 私の体は全力で締めつけて追い出そうとするけど、力負けして、鉄柱のようなそれが結局、おへその下まで入ってくる。異物感がすごい。 どう考えても私の中にそんなスペースなんてないと思うのに。 彼が弾丸で私の下腹部に穴を穿って、ぐりぐり押し広げているんじゃないか、そんな錯覚すら覚えた。 「……ふっ、ぁ……叢雲…っ!!」 そんな私をよそに、彼は感極まったような声を上げる。 ゆっくりと、段々と激しく、引き抜いては私を突き上げる。こっちは痛いってのに。 私が痛みで腰を引こうとすると、お尻を手でつかまえられて、押し戻された。そのせいで、司令の先端が、私の最奥をゴリゴリとこする。 ずちゅっ、ずちゅっ。 そんな間の抜けた水音が、司令と私の腰が、繋がったり離れたりするたびに響く。 私の激痛なんてまるで関係ないみたいで滑稽だった。 滑稽と言えば、このベッドがきしむ音も、司令の必死な息づかいも。 早く、はやく終わってほしい。 私はもうただそれだけを祈っていた。 今はけだものみたいになってる彼も、ひとしきり満足したら、元に戻ってくれるだろうか? 『お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…』 頭の中で勝手に、さっきの彼の言葉がくり返される。 一体、どこでボタンをかけ違ったんだろう? 鈍感で、朴念仁だなんて、ののしっておきながら、私こそ司令官の気持ちを推し量ろうとしなかった。 もし私が勇気を出して言っていたら。 もしあの手を払いのけなかったら。 こんな風にはならなかったかもしれないのに。 でも、もし私のことを好きだっていうんなら、なんでこんな酷い仕打ちをするんだろう? 好きだけど、それでも私があんまり生意気な子だから、痛めつけてやりたかった、とか。 ――この体の痛みも、胸の痛みも。罰なんだろうか。 「叢雲…叢雲っ……!」 熱に浮かされたみたいな彼の声で、現実に引き戻される。 ピストンがいちだんと速くなったかと思うと、私を突き上げてた剛直が、勢いよく引き抜かれた。 あ、と考える間もなく、熱い飛沫が、私の下腹に、二度、三度と飛び散った。 熱湯がかけられたかと思って、つい、ひゃあっ、と声を上げる。 と、ここで私はようやく、口をふさいでいた彼の手が、どけられたのに気がついた。 「あ…」 気づくと、司令が私の顔の横に手をついて、私を見下ろしていた。 呼吸はさっきほど荒くない。落ち着いてきてる。 状況が違えば、ドラマによく出てくる、男が恋人を押し倒した直後みたいな構図だ。 ふいに司令が、すっと私の顔に手を伸ばす。 「や…やめ…っ!」 私は反射的に目をつむってしまった。 何かまだ、ぶたれたり、もう一度、犯されたりするんじゃないかと思っていたから。 そんな私の頬を、温もりを持った指が、優しく拭っていく。 身をすくめていた私が、おそるおそる目を開くと、司令は身を乗り出して、私の頭の上、拘束されてた私の手首の縛めを、ほどいてくれていた。 放心した頭で私は、終わったのかな? などとぼんやりと思った。 …何が? 相変わらず司令は私の上で、言うべき言葉を決めかねているみたいな顔をしている。 「痛い…」 私がぽつりと言った。じっさいそれは、正直な感想だ。 縛られてた手も痛いし、抑えられてた足も、あそこも…。 「だろうな」 司令はそう返す。 ああそうね、「すまない」なんて言ってたら、きっとぶん殴ってるところだわ。 …そうだ、私にこれだけ酷いことをしておいて…今さら、優しさなんか、いらない。 徹底的に私を、慰みものにでも、すればいいのに。 でも司令は代わりに、部屋にあったティッシュで、私のお腹を汚してた精液と、破瓜の血とを拭ってくれていた。 「………なんで、そんなに優しく、するなら…」 だったら何で、最初から優しく、してくれなかったの。 途中から、また溢れてきた涙で言葉にならなかった。けれど彼は意味を察したらしい。 「…お前に、徹底的に嫌われたかったから」 私のいない艦隊なんて考えられなかったから。私に想われないで去るくらいなら、いっそ壊すくらいに痛めつけて、一生私の心の中に残りたかったから。 司令はそんな風に訥々と語る。 それを聞いて私は、ああ、この人は馬鹿だと悟った。 私と同じたぐいの、馬鹿。 司令を好きでいるのが辛くて、司令の告白を聞くのが怖くて逃げ出した私と。 私に愛されてないと思い込んで、いっそ私にひどく嫌われようと想ったこの人と。 救いようのないくらいの馬鹿二人だ。 「叢雲……俺を軍令部に訴えて更迭するなり何なり、好きにするといい…お前がいない場所なんて、どこだろうが変わらないからな」 司令はベッドサイドに腰かけ、何かもう、達観したような口調で言う。 私から顔をそむけて、私に未練を持たないようにしているんだろうと思った。 「…そうね…こういうのはどう? 代わりにあんたが、私のお願い、何でも一つ聞くの」 彼の背が、ぴくっと動く。 私が提案なんかしたことが意外なんだろう。 「…ああいいよ。深海棲艦の巣に飛び込めって言うなら、そうしよう」 「バカ。そんなこと、死んだってさせない」 司令の背中から、私はぴたっと抱き着く。裸の大きな背中が、私を抱き留めてくれてる。 「む…叢雲!?」 明らかにうろたえる彼を制して、私は伝えた。 私の「お願い」を。 「私を、あんたの新しい艦隊に入れて、今まで通り秘書艦にして。あんたのコネだろうが、何だろうが全部使って、ねじ込みなさい」 「叢雲、お前…」 司令が驚いて私に向き直る。その顎をつかまえて、私はそこに唇を重ねた。 私からのキス、私の初めてのキスだ。 キスは、とくにレモンの味なんてしなくて、唇に流れた自分の涙の味がした。 あと、司令のヒゲの剃り跡がちょっとざらざらする。 三秒くらいそうして唇を合わせていて、やっと離してから、私が言う。 「…あんたがいないとこなんて、どこへも行きたくないのは…私だって同じなんだから」 一緒よ、ずっと。 それだけ言うと、彼がすごい勢いで、私を抱きしめてきた。 むらくも、叢雲、と。私の名前を必死で呼ぶ。 いいのよ、と私は言う。 私たちお互い、馬鹿なんだから。きっとこうでもしなきゃ、伝えられなかったから。 それから私たちはしばらくの間、抱きしめ合ったままでいた。 まるで今まで足りなかった言葉を補うみたいに、ただ抱きしめ合っていた。